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闘莉王が「今最も評価する日本人選手」は? Jリーグで対戦…「彼がどれだけ凄いかよく分かる」と絶賛の訳【独占インタビュー】
アーセナルで活躍するDF冨安健洋は「今最も脂が乗っている日本人選手」
元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が約1年ぶりに来日し、「FOOTBALL ZONE」の独占インタビューに応じた。日の丸を長年背負って活躍した闘将は、現時点で最も高く評価する日本代表選手として、イングランド1部アーセナルに所属するDF冨安健洋の名前を挙げるとともに、その理由を説明した。(取材・文=河合拓/全5回の2回目)
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◇ ◇ ◇
ヨーロッパ最高峰のリーグに日本人選手がいることが当たり前の時代になりました。プレミアリーグ(イングランド)、ラ・リーガ(スペイン)、セリエA(イタリア)、ブンデスリーガ(ドイツ)、リーグ・アン(フランス)、エールディビジ(オランダ)、プリメイラリーガ(ポルトガル)と、どこを見ても上位のクラブに日本人選手がいます。本当に凄い時代になったなと思いますが、そのなかで俺が一番評価しているのは、イングランド1部アーセナルのDF冨安健洋です。
冨安は2021年にアーセナルに加入しましたが、それまでのアーセナルは数シーズン優勝争いに加われず、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)にも出場できないシーズンが続いていました。アーセナルが決して良くない時に加入したわけですが、これはとてつもなく難しいことです。そこで力を発揮して昨シーズンは2位になり、今シーズンもリバプールやマンチェスター・シティなどと上位争いをし、まさに強いアーセナルに戻りつつあります。
チームが強くなっていく段階で活躍していた選手というのは、クラブを去っていくことも多いです。なぜなら、強くなったことでチームは新たな選手を補強できるようになるから。冨安が凄いのは、アーセナルが補強を行っているにもかかわらず、今もアーセナルに残って、しかも重要な戦力として起用されている点です。
多少、出場機会は減っているかもしれませんが、戦術的な役割があり、間違いなく戦力となっているからこそ、2023年10月にはファン投票によるクラブ月間MVPに選ばれた。これはもうとんでもないことですし、冨安しか経験していない。一番評価している日本人には冨安を挙げたいですし、今最も脂が乗っている日本人選手だと思います。
闘莉王が振り返る富安との対戦「この選手は伸びていくんだろうな」
最近、冨安は少し怪我が多いですが、怪我というのは誰にでも起こり得るものです。特に冨安はプレミアリーグで戦っていて、対人面では世界最高峰のリーグ。そこでギリギリの戦いをしているわけですから、やっぱりどうしても怪我に見舞われてしまうこともあります。
世界の超人たちを相手に、本当に1ミリ、0コンマ何秒を競うことになるわけで、そのギリギリの戦いのところでは身体に負担がかかるし、怪我につながってくる。これはもう仕方がありません。基本的には100%を出し続けて、さらに最後の最後には踏ん張る気持ちで100%プラスアルファを出さないといけないかもしれない。そうなれば怪我のリスクは当然高まりますよね。
自分もセンターバック(CB)でしたから、彼がどれだけ凄いかよく分かる。冨安の凄さは、CBで世界屈指のレベルだし、さらにサイドバック(SB)も右か左かではなくて、両サイドのプレーを高水準でできる。最終ラインどこでもプレーできるし、ボランチでもプレーできるのは「圧巻」の一言です。
実際、自分がJリーグで対戦した時、冨安はアビスパ福岡でボランチとしてプレーしていましたからね。CBで彼と一緒に組むことができたら面白かったかもしれません。対戦した印象では、ちょっとタイプは自分と違いますが素晴らしかったです。「この選手は伸びていくんだろうな」と感じたし、やっぱり頭がいいんでしょうね。ここまで登り詰めることができるのは、賢い選手でなければできないことです。
[プロフィール]
田中マルクス闘莉王(タナカ・マルクス・トゥーリオ)/1981年4月24日、ブラジル・サンパウロ州生まれ。サンフレッチェ広島―水戸ホーリーホック―浦和レッズ―名古屋グランパス―京都サンガF.C.。Jリーグ通算529試合104得点。日本代表通算43試合8得点。浦和と名古屋でチーム初のリーグ優勝に貢献し2006年JリーグMVPを受賞。03年に日本国籍を取得し、04年アテネ五輪に出場。10年南アフリカW杯で日本代表の16強進出に貢献。19年シーズンで現役引退後、解説など精力的に活動し、YouTubeチャンネル「闘莉王TV」も話題を集めている。
(河合 拓 / Taku Kawai)