「浦和サポーターを一生忘れない」 現役引退カンテ、再会を約束「いつか戻ってくる」【現地発】

浦和のホセ・カンテ【写真:ロイター】
浦和のホセ・カンテ【写真:ロイター】

今季限りでの現役引退のカンテ、クラブW杯3決で見事な一撃もチームは2-4敗戦

 浦和レッズはサウジアラビア開催のクラブ・ワールドカップ(W杯)で、12月22日の大会最終日に行われた3位決定戦でアフリカ王者アル・アハリ(エジプト)に2-4で敗れた。FWホセ・カンテは、これが現役ラストゲームになるかもしれない一戦で1ゴールを挙げ、「浦和のサポーターのことを僕の人生で一生、忘れないでしょう」と感謝の言葉を残した。

 プレシーズンからセンターFWの獲得が難航していた浦和は開幕後の3月、中国の滄州雄獅でのプレーを終えていたカンテと電撃契約。当初はコンディションを上げるのに苦労していたが、夏以降は浦和でスタメンに定着。特に、ペナルティーエリアのやや外から意表を突いたタイミングやGKにとって難しいコースに決めていくシュートが「理不尽ゴール」と話題を呼んだ。しかし、スペイン出身で父親のルーツであるギニア代表でのプレーを選択していたカンテは、10年近く続いた海外でのプレーの中で7歳の息子と過ごす時間を大切にする、父親として過ごす時間を作るために今季限りでの現役引退を決断していた。

 そしてこの試合、2点ビハインドの前半43分に一撃を見舞った。MF小泉佳穂が右サイドに高いボールを入れるとDF酒井宏樹が競り勝つ。さらにMF伊藤敦樹が絡んでボールがこぼれると、カンテはボールの落ち際を左足アウトサイドにかけた意表を突くコースへのシュート。足の振りと違う方向に飛んでいくボールにGKは対応できず、ボールがゴールに吸い込まれた。まさに高い技術と意外性を併せ持つカンテらしい一撃だった。

 カンテはこのゴールを「そうですね、良いゴールでした。チームが必要としていたゴールでした。非常に大事な時間でしたから」と話す。しかし、後半に入って一度は追い付いたチームだったが2失点を重ねて敗れた。

 試合前日にカンテは、来年1月にギニア代表が出場するアフリカ選手権において40人ほどのプレリストに入っていることを明かしていた。そのため、必ずしもこのゲームが現役ラストゲームになるかは分からない。だが、やはり残り時間が減っていく時は「すごく感情的になりましたね。ゲームもアップダウンは激しかったんですけど、かなり感情的になりました」と、特別な思いがあったと話した。

「浦和のファンは本当に凄い。本当に誇りに思います」

 埼玉スタジアムでのラストゲームのあとは、取材エリアで感極まった姿も見せたが、この日は穏やかな笑顔を最後まで浮かべていた。そして、ゴール後に浦和サポーターを指さしていたのは「サポーターの皆さんに感謝の気持ちを伝えていました」のだと話すカンテは、その思いを話した。

「また今日も本当にアジアで一番のファンがいるというのを見せてくれました。彼ら、浦和のサポーターのことを僕の人生で一生、忘れないでしょう。本当に素晴らしく、彼らのサポート、今大会もここまでこの距離を来てくれるのは簡単なことではないです。僕らも選手として誇りに思いますから。特に現地で、外でコーヒーを飲みにいっても、現地の人たちが浦和のファンは本当に凄いよねという話をしてきます。世界がこの大会で彼らを垣間見たと思います。本当に誇りに思いますよ」

 アフリカ選手権への代表選出は分からないがいずれにしても「普通の父親」として過ごす日々は遠くない。そして「すでにプランしていますよ」と話すのは、息子を連れて浦和の街を訪れること。「いつか戻ってくると思います。それは素晴らしいことになると思います。再会できますよ」と、話していた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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