「浦和を世界に証明してくれた」 クラブW杯準決勝、完敗のマンC戦で響いた浦和サポーターの声援【現地発】

サウジアラビアに駆けつけた浦和サポーター【写真:Getty Images】
サウジアラビアに駆けつけた浦和サポーター【写真:Getty Images】

ショルツは「非常に素晴らしい」と笑顔

 浦和レッズは現地時間12月19日にサウジアラビア開催のクラブ・ワールドカップ(W杯)準決勝で欧州王者マンチェスター・シティ(イングランド)と対戦。力の差を見せつけられる0-3の完敗だったが、浦和サポーターの声援は4万人以上が入ったスタジアムの中で力強く響いた。

 ジッダの2つあるスタジアムのうち、12月15日に行われた初戦クラブ・レオン(メキシコ)戦は2万人ほどの収容人員のサブ会場だった。その中で約400人の浦和サポーターが大きな声援を送ったが、今回は6万人以上が入るメイン会場。そして、その後に週末を迎える金曜日だった試合から、平日のど真ん中にある火曜日のゲームという日本からの渡航に厳しい条件も揃ったが、最終的に4万127人が入った中でゴール裏の中心部一角に浦和サポーターは陣取った。

 GKやフィールドプレーヤーがウォーミングアップに出てきたところから出迎え、スタジアムにはその最初の時間だけ埼玉スタジアムでのホームゲームで使用される楽曲も流れた。スタジアムを埋めたのは、地元の人々と旅行客が大半で、多くはシティのスター選手を見に来ていた。それは雰囲気からも明らかだったが、その一角は違う空気感を醸し出していた。

 試合展開は厳しいものになった。前半終了間際に攻め込まれ続けたことで余裕を奪われていったことも一因にありそうなオウンゴールで先制を許し、後半に入ると多少オープンな展開になってさらに力の差が表れた。それでも、声援はやむことなく、最後の最後までチームを後押しして勇気づけようという声が響いた。

 DFアレクサンダー・ショルツは、苦しい試合展開を振り返りながらも報道陣からの質問に「浦和のサポーター」という言葉が聞こえた瞬間にパッと顔が明るくなった。そして「浦和を世界に証明してくれたサポーター、日本を代表してくれたサポーターです。非常に素晴らしく、間違いなく次の試合もサポートしてくれるでしょうし、我々には彼らが必要です。3位決定戦には勝ちたいですね」と感謝の言葉を話した。

 主に浦和サポーターが投稿しているSNSの中には初戦後に日本に帰国して、再びシティ戦や22日に行われる決勝または3位決定戦のタイミングでジッダ入りというものもあった。レオン戦とシティ戦の中3日に入った週末を利用して欧州各国でのサッカー観戦、エジプトでのピラミッド観光など近隣諸国で過ごすなどして、試合に合わせて再びジッダ入りする投稿も見られた。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)でもクラブW杯でも、世界を飛び回ってチームをサポートする浦和サポーターは旅慣れていて、その知識も共有している。

 3位決定戦の相手はアフリカ代表アル・アハリ(エジプト)に決まった。紅海を渡ってすぐであり、首都カイロからの空路は日本からジッダに入る主要な乗り換えパターンの1つになるほど。18日にフルミネンセ(ブラジル)と対戦した準決勝のスタジアムを見ても、完全アウェーの環境になることも予想される。それでも、浦和サポーターによるほかにない存在感を放ってチームを後押しする姿がそこにあるはずだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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