橋岡大樹、ベルギーで実感している改善点とは? 「もっともっと僕自身の価値も上がる」と語る訳【現地発】

モレンベーク戦で決勝点を決めた橋岡大樹【写真:(C) STVV】
モレンベーク戦で決勝点を決めた橋岡大樹【写真:(C) STVV】

第12節のモレンベーク戦で決勝弾の橋岡、後半の内容に手応え「上手く改善できた」

 日本代表に継続して選出されている橋岡大樹は、所属クラブのシント=トロイデンで着実に成長を遂げている。取材に訪れたのはベルギーリーグ第12節のモレンベーク戦。まばゆい灯りに照らされたナイトゲーム独特の雰囲気のなか、1-1で迎えた後半アディショナルタイムに橋岡が放った高い打点のヘディングシュートが決勝点となり、シント=トロイデンは3試合ぶりの勝利を挙げることに成功した。

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 シーズン序盤こそ今季から指揮を執るトルステン・フィンク監督が志向するよりオフェンシブで、自分たちから主導的に仕掛けるサッカーが好転し、順調に勝ち点を重ねていた。ただここ最近は狙いどおりの展開に持ち込めず、この日も立ち上がりからボール保持時間こそ多いものの、効果的な攻撃が仕掛けられずに苦しんでいた。

 橋岡はサイドで精力的な動きを見せていたが、1対1を仕掛けても上手く突破口を開けなかったり、相手のプレスを前にボールを上手く逃がすことができなかったりと、手詰まり感があった。そのあたりを橋岡自身はどのように感じていたのだろうか。

「サイドでのコンビネーションっていうところで、タクティカルな部分でちょっと……。もうちょっとフリーになれる、ポジショニング1つでスペースを作れるっていうところがあった。後半は僕のポジショニング、僕の前の選手のポジショニングが改善できたのでやりやすくなったのかなと思っています」

 前半の橋岡は状況をなんとか打開しようと動きすぎていたところがある。右サイドのウイングバックとしてサイドだけではなく、相手守備ライン裏に走り込んだり、インサイドハーフに入り込んだりしながら、ボランチ脇にも顔を出していた。ただ、そうした動きを繰り返しても、相手守備がずれたタイミングでパスが入ってこなければ、相手からすれば担当するマークの受け渡しさえすればいいという、簡単な対応で終わってしまう。

 後半にはやるべきプレーを整理し、それぞれのプレーの意図を分かりやすくしたのがポジティブに作用したようだ。

「僕がインサイドに行くよりも、アウトサイドで待って相手DFをピン留めした状態でやるようにしました。僕の前の選手が、僕がやっていたインサイドのポジションに落ちてくる、そこに誰かが付いてくる。もし3バックの左CBが付いてきたら真ん中が空くし、相手のウイングバックが前に出てきたら、僕が空く。そういう単純なことなんですけど、そこが前半はちょっとできていなかった。後半はそこを上手く改善できたのかなと思います」

さらなる成長に向けて自分の課題も把握「ポジティブかなと思っています」

 橋岡の言うとおり、後半はボールがより効果的に動くようになり、ペナルティーエリア付近で惜しいシーンを作れるようになってきた。モレンベークは前半のようにプレスをかけることがしづらくなり、両サイドからのクロスを跳ね返すものの、セカンドボールはシント=トロイデンに拾われる。橋岡もよりいい形でボールに関われるようになっていった。

 そして得点力のあるサイドバック/ウイングバックへとさらに成長するために、より具体的なテーマをもって取り組んでいる。

「今シーズンはウイングの位置から内側に入ったりしますけど、そういったところで臨機応変にポジショニングの変更だったり、(味方とポジションを)ローテーションしながらやっていくところを上手くやらないといけない。それに最後のアシストへつながるクロスの質に加え、クロスそのものの頻度を上げるところも、もっとやっていかないといけない。あとはユニオン戦でもあったんですけど、GKと1対1の部分とかもですね。そういうところもしっかり決めていけば、もっともっと僕自身の価値も上がるなと思う。改善点としてしっかり見えているので、ポジティブかなと思っています」

 試合の流れを作れる、変化をもたらせるサイドバック/ウイングバックは世界的にも需要がある。自身の良さを大事にしたうえで、さまざまなタスクを担えるようになったら、さらなるステップアップにつながっていくはずだ。

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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