森保ジャパンで「期待を一番裏切らない選手」「チームの柱」は? チュニジア戦出場17選手を金田喜稔が採点

金田喜稔氏が採点【写真:徳原隆元】
金田喜稔氏が採点【写真:徳原隆元】

【専門家の目|金田喜稔】町田は「10月シリーズの好材料」、CBコンビは安定感抜群

 森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング19位)は、10月17日に兵庫・ノエビアスタジアム神戸でチュニジア代表(同29位)と対戦し、2-0で快勝した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏が、この試合に出場した17選手を5段階(5つ星=★★★★★が最高、1つ星=★☆☆☆☆が最低)で採点した。

   ◇   ◇   ◇

<GK>
■鈴木彩艶(シント=トロイデン)=★★★★☆
 危ない場面もあったが、無失点で抑えた点は評価したい。気になったのは相手の激しいプレスを受けながらつなごうとしたシーン。意図は分かるが、時間帯、試合展開、自軍の状況次第で、無理して取られた時にリスクが勝る時もある。ビルドアップ面の狙いは理解できるものの整理が必要だろう。

<DF>
■中山雄太(ハダースフィールド・タウン)=★★★★☆(→後半18分OUT)
 代表復帰のなか、カナダ戦に続いて安定したパフォーマンス。不慣れなポジションだった旗手との連係は課題だが、ここは2列目左に三笘らが入ればまた変わるので大きな心配はない。アップダウン、ポジショニングなどの状況判断、戦術的な勘も徐々に取り戻した。

■町田浩樹(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)=★★★★☆(←後半18分IN)
 要所でキックの精度が光ったし、その点では上手くアピールできていた。高さと強さもあり、成長や自信がプレーに出ていて、何より落ち着きを感じる。海外で揉まれて慣れてきたのもあるだろうし、本人としても一定の手応えはあったはず。10月シリーズの好材料と言える。

■板倉 滉(ボルシアMG)=★★★★☆(→後半27分OUT)
 冨安との連係がスムーズで、ラインの上げ下げも全く問題は見られない。危ないシーンをほとんど作られておらず、シュート1本に抑えるなど最終ラインにほぼ隙はなかった。

■谷口彰悟(アル・ラーヤン)=★★★★☆(←後半27分IN)
 途中出場のなか失点をゼロに抑えた。どういう状況で入ったとしても安定感をチームにもたらす。計算のできるプレーで、森保監督も信頼を寄せていると思う。冨安や板倉が不在というケースも想定しているだろうし、いまや不可欠な戦力だ。

■冨安健洋(アーセナル)=★★★★★
 リーダーシップを発揮し、板倉とともに強固なセンターを作り上げている。高いライン設定をして、両サイドにも指示を出し続け、鋭い出足も見せるなど、最終ラインだけでなくチームの柱としてフル稼働した。

■菅原由勢(AZアルクマール)=★★★★☆
 この日は伊東や久保もいたのでサポートする場面が多く、追い越すような動きは抑え気味だった印象だが、それでも安定感と躍動感があった。本人としては、フィニッシュやクロスの精度で課題を感じたかもしれないが、貢献度は高かった。

久保は「柔らかいタッチがやはり絶妙」 守田の「いい配慮」も際立った

<MF/FW>
■遠藤 航(リバプール)=★★★★☆
 チームの重心を整えるように攻守のバランスを取り続け、相手のチャンスの芽を的確に潰していた。守田とのコンビも慣れたもので、攻撃陣のサポートに徹していた。

■守田英正(スポルティング)=★★★★☆
 久保が使うスペースを潰したくないという意図も見え、非常にいい配慮を見せた。時に高い位置に上がって攻撃に厚みを加え、2列目とのバランスを常に意識していた。

■伊東純也(スタッド・ランス)=★★★★☆(→後半27分OUT)
 決めたゴールは決して簡単なものではない。身体の開きを抑え、浮かさないようにしっかりミートしてコースを突いたのは見事。カナダ戦に続く出場で疲労はあっただろうが、プレーの質と戦う姿を見せた。森保ジャパンで期待を一番裏切らない選手。コンスタントに期待以上のプレーを見せる確率は誰よりも高い。

■橋岡大樹(シント=トロイデン)=※出場時間短く採点なし(←後半37分IN)
 カナダ戦に続いて終了間際の投入で、本人は悔しい思いを感じているかもしれないが、着実に実績と経験を積んでいるのはポジティブに捉えていい。短い時間でも安定したプレーを見せた。

■旗手怜央(セルティック)=★★★★☆(→後半18分OUT)
 左サイドハーフ起用で、これまで継続起用されてきたポジションというわけではなかったが十分なプレーを披露。ゴールチャンスでミスしたシーンもあったものの、フィニッシュに絡めているという言い方もできる。複数のポジションができるのも魅力の1つで、そういう意味で特徴を見せた。

■久保建英(レアル・ソシエダ)=★★★★☆(→後半37分OUT)
 左サイドを突破するドリブルからのラストパスは秀逸だった。ボールを持っている時、アウトサイトでボールに触る柔らかいタッチがやはり絶妙。あのタッチで相手は止まる。当たりにも強くなった。着実に強さが増しているし、まさに驚異の22歳だ。

南野は「シュートを打ってなんぼ」 ゴールで古橋は「ほっとしていると思う

<MF/FW>
■南野拓実(ASモナコ)=★★★☆☆(←後半27分IN)
 本来はシュートを打ってなんぼの選手。もっとシュートに絡んでほしいという思いは強かった。チャンスは作ったが生かせなかったし、「うわっ!」と思わず圧倒されるようなプレーの印象も薄い。アピールという意味では可もなく不可もなく。個で何ができるかという意味では、まだ物足りない。

■浅野拓磨(ボーフム)=★★★☆☆(←後半18分IN)
 そのスピードはやはり脅威で、抜け出しから自分の形は見せた。とはいえ、カナダ戦ほどのインパクトは残せず、怖さをやや欠いた感もあった。

■古橋亨梧(セルティック)=★★★★☆(→ハーフタイムOUT)
 やはり背後を取る動き出しは一級品。ゴールを決めて本人もほっとしていると思う。冷静にコントロールして決め切ったのは、らしさが出ていた。結果を出して今後も呼ばれるはずなので、このまま引き続き頑張ってほしい。

■上田綺世(フェイエノールト)=★★★★☆(←ハーフタイムIN)
 エンジンがかかるまでに少し遅かった印象で、ポストプレーやプレッシングの判断などは課題を残した。それでも、身体を反転させて打ったシュートは圧巻の一言。あれはとてつもないプレーで、あの角度で、あのシュートスピードはなかなか出ない。あのプレーだけでも上田のポテンシャルが出ていた。

金田喜稔

かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。

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