森保ジャパン、9月招集メンバー「FW選考」考察 大迫&南野が代表復帰へ?…注目はオランダで株上昇の大型ストライカー【コラム】

9月シリーズ、FW陣のメンバー選考に注目【写真:徳原隆元 & Getty Images】
9月シリーズ、FW陣のメンバー選考に注目【写真:徳原隆元 & Getty Images】

欧州遠征メンバーに招集あり得るFW陣に焦点

 森保一監督率いる日本代表は、来月の欧州遠征でドイツ(9日/ヴォルフスブルク/ドイツ)、トルコ(12日/ゲンク/ベルギー)との2連戦に臨む。欧州勢との貴重なテストマッチで、森保監督はどのようなメンバー構成で挑むのか。ここではFW陣に焦点を当て、海外&国内組の動向を追いながら、メンバー選考を占う。

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 カタール・ワールドカップ(W杯)後、2度の代表活動において、本大会でメンバー外だったFWからは6月に古橋亨梧(セルティック)が招集されたのみ。ここまで前田大然(セルティック)、浅野拓磨(ボーフム)、上田綺世(フェイエノールト)の3人が継続して入っている。

 カタールW杯では追加招集だった町野修斗は3月の活動で招集された一方、6月シリーズでは招集外に。ただ、湘南ベルマーレからドイツ2部ホルシュタイン・キールに移籍しており、新天地での活躍から代表復帰も期待される。ただ、こうした状況がそのほかのFWの停滞を意味するかと言えば、そんなことはない。

 象徴的なのは大迫勇也(ヴィッセル神戸)の活躍だろう。カタールW杯本大会のメンバーから外れたが、今シーズンのJリーグで得点ランキングのトップを行く19ゴール。その決定力もさることながら、前からの精力的な守備や力強いポストプレーなどで、現在2位の神戸を最前線から引っ張っている。

 日本代表が導入している自陣からのビルドアップに大迫の特長がどうマッチするかというのは現在の神戸からイメージしにくいところはあるが、そもそも2018年ロシアW杯のベスト16進出は大迫の活躍なくして語れないもので、現在の森保ジャパンにも力になることは間違いない。33歳の大迫がいざ代表復帰となったら、悲願のリーグタイトルを目指す神戸としては嬉しさ半分、不安半分かもしれないが、招集される資格は十分にある。

 問題はメンバー構成だろう。上田が前線の軸になりつつあるFW陣で、前田と浅野が継続的に招集されている事実を考えると、サイドを兼ねる選手が2人は入ることになる。そこにもう1人が町野のような大型FWになるのか、あまり似た選手のいない古橋のような選手になるのかは森保監督の考え次第だ。

 イレギュラーな対応として、前田か浅野を外す代わりに、古橋をサイドに起用するプランもなくはないが、前田や浅野と違い、セルティックでやってきているプレーを考えると、現時点であまり得策とは言えない。一方、FW枠を考えるうえで、もう1つ頭に入れるべきファクターがある。南野拓実(ASモナコ)の復調だ。

充実度で言えば上田よりも小川が上、オランダで最も注目されるFWの1人に

 3月、6月の活動で未招集のFWで、今誰が日本代表にふさわしいかと言えば、大迫を挙げるが、アタッカーという意味では南野がナンバーワンかもしれない。オーストリア1部ザルツブルク時代の南野をよく知るアドルフ・ヒュッター監督がモナコにやって来た影響は感じられ、身体のキレの良さも感じる。8月に開幕したリーグ・アンで3ゴール2アシスト。最近、ヨーロッパなどで重視されるゴールとアシストを合計したスコアポイントは5大リーグでもトップレベルで、森保監督としても嬉しい驚きだろう。

 カタールW杯のメンバーである南野に関しては森保監督も熟知しており、好調の彼を復帰させない理由が見当たらない。問題はメンバー構成にどう影響するかということ。モナコでは右ウイングが基本なので、伊東純也(スタッド・ランス)や堂安律(フライブルク)、久保建英(レアル・ソシエダ)と競争になるのか、あるいは、2列目の中央に入るのかは興味深い。

 メディアなどでは便宜上、MFとFWを分けてリストを作るが、森保監督はMF/FWという表現をしている。まさしく南野はどっちの表記にも当てはまるタイプだが、サイドアタッカーとして捉えるなら、前線のマルチである前田か浅野が外れて、上田にプラスして大型FWやスコットランドリーグの開幕から2得点している古橋のようなストライカーの枠が確保される可能性もある。

 現在の活躍から、本来はパリ五輪世代のエース候補である細谷真大(柏レイソル)とオランダでブレイク中の斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)の2人はA代表の競争に加わってもおかしくないが、バーレーンで行われる五輪予選が同時期にあるため、中心選手の2人は大岩剛監督が率いるU-22日本代表に招集されるはずだ。そうなるとキールで4試合2得点1アシストと順調な滑り出しを見せた町野とJリーグ得点ランキング1位の大迫が代表復帰の有力候補と見られるが、もう1人気になる大型FWがいる。横浜FCからオランダ1部のNECナイメヘンに移籍した小川航基だ。

 欧州初挑戦ながら、エールディビジ(オランダ1部)で開幕2試合連続ゴールを決めて、本格的なストライカーとしての真価を見せつけた。3試合目のRKC戦はゴールこそなかったが、前線の力強いプレーで3-0勝利に貢献しており、日本人に限らず、今オランダで最も注目されるFWの1人になって来ている。

 正直に言ってしまえば、現在フェイエノールトで3試合の途中出場、ゴールもアシストも記録できていない上田よりも小川のほうが充実しているが、カタールW杯のメンバーであり、前線の軸として存在を確立しつつある上田を森保監督がそう簡単に外すとも考えにくい。フェイエノールトのような名門ではチームで信頼や評価を確立していくには時間も必要だ。

 ただ、FWというのは結果のポジションでもある。W杯最終予選になってくれば話は別だが、現時点では所属クラブで結果を残している選手を積極的に招集して、使っていくのも代表監督の役目ではないか。そう考えると少しフラットに考えて、欧州の地でドイツとトルコに挑むにふさわしいメンバーを選考していくことも期待して、メンバー発表を待ちたい。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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