なでしこジャパン、いよいよ22日W杯初戦! 清水梨紗の決意「出来る準備は全部してきた」「最高のW杯にしたい」【コラム】
公式会見に池田太監督と出席した清水、「勝ちをもぎ取って初戦を終わりたい」
女子ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦のザンビア代表戦を前に、公式会見に池田太監督と清水梨紗が臨んだ。「勝ちをもぎ取って初戦を終わりたい」――清水の一言には並々ならぬ決意と貪欲さが込められていた。
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清水は現在、右のウイングバックとして攻守に存在感を発揮している。サイドバックを主戦場としてきた彼女はU-17、U-19世代からアジアの厳しい熱さのなかでの国際大会でも衰えないスタミナでサイドのアップダウンを繰り返していた。周りの足が止まっても、清水の足は止まらない。息が上がっても、疲労が色濃くなってもクロスを上げ続け、展開が変われば全力で走り戻る、それがユース年代から貫く清水のスタイルだ。
そのイメージは今でも変わらないが、ここ数年の清水の新たな強みとして自ら直接ゴールを狙うプレーが加わった。彼女が前線に現れる時、それはクロスにしても、中へ走り込んでのシュートにしても、必ず好機を生む。「何かを起こす」と感じさせてくれる攻撃のスイッチャーとしても重要な責を担う。なでしこジャパンとしての得点は2ゴールにとどまっているが、2ゴール目はW杯直前の壮行試合でパナマから奪った先制ゴールだった。
攻撃参加の特長が際立つものの、守備の嗅覚もピカ一だ。2019年フランス大会でベスト16、東京五輪でベスト8に終わってしまったあと、彼女は海外移籍を決断した。行先に選んだのはずっとプレーしたかったイングランドのスーパーリーグに属するウェストハムだった。
チームでも右サイドでフィジカルに長けた選手を相手に研鑽を積んでいる。移籍してわずか2か月後に見た清水は、体格差のある相手に対して巧みに軸をズラし、素早くボールカットをする。例え奪い切れずとも、運ばせない位置にはしっかり追いやる。自分の間合いを掴んでいるようだった。その場面に持ち込むために取る、ボールオフの際の清水のポジショニングも必見だ。
「世界大会に対して悔しい想いをずっとしてきて、オリンピックが終わった年に何かを変えなきゃと思って海外移籍を選びました。自分としては出来る準備は全部してきたので、チーム全体で優勝を狙って最高のワールドカップにしたいと思っています」
ここまで彼女が明確にやれることはやったと言い切るのは珍しい。それだけの努力を重ねてきたということだ。
あとに控える戦いを考えれば、初戦はなんとしても勝ち点3が欲しい。なでしこジャパンが戦うザンビアには、今最も勢いのあるゴールゲッターと言っても過言ではないバーブラ・バンダという存在がある。彼女にボールを渡らせない守備網を張り巡らせ、そして一瞬の隙を突いて攻撃のスイッチを入れる。きっとそこに清水のオーバーラップする姿もあるはずだ。
【オーストラリア&ニュージーランド女子W杯】
なでしこジャパンのグループリーグ日程
7月22日 第1戦 日本×ザンビア(日本時間16時キックオフ)
7月26日 第2戦 日本×コスタリカ(日本時間14時キックオフ)
7月31日 第3戦 日本×スペイン(日本時間16時キックオフ)
早草紀子
はやくさ・のりこ/兵庫県神戸市生まれ。東京工芸短大写真技術科卒業。在学中のJリーグ元年からサポーターズマガジンでサッカーを撮り始め、1994年よりフリーランスとしてサッカー専門誌などへ寄稿。96年から日本女子サッカーリーグのオフィシャルフォトグラファーとなり、女子サッカー報道の先駆者として執筆など幅広く活動する。2005年からは大宮アルディージャのオフィシャルフォトグラファーも務めている。日本スポーツプレス協会会員、国際スポーツプレス協会会員。