J2快進撃の町田は「ビッグクラブになる条件を揃えている」 エース助っ人が語る日本での野望

町田でプレーするエリキ【写真:(C) FCMZ】
町田でプレーするエリキ【写真:(C) FCMZ】

【インタビュー】FWエリキ、今季チーム&個人パフォーマンスを改めて評価

 J2の首位に立っているFC町田ゼルビアは、7月1日に町田GIONスタジアムで行われるJ2リーグ第23節で大宮アルディージャと対戦する。クラブ史上初のJ1昇格に向かうチームを最前線から力強く牽引しているのが、今シーズンから加入したブラジル人FWエリキだ。

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 ここまで全22試合に先発出場しているエリキは、現在リーグ3位タイ、チームトップの11得点を挙げ、リーグ4位タイとなる5アシストを記録している。加入したばかりのチームでチーム総得点34のほぼ半分にあたる16得点に関与しており、「ここまで11ゴールを挙げることができて、自分でも非常にいい状態でプレーができていると思っています」と、手応えを口にした。

 そして、3シーズンぶりになる日本のサッカーのスタイルが、自分に合っていることも、活躍ができている要因に挙げた。

「日本のサッカーの特徴でもあるスピード感が、自分のストロングポイントとマッチしているのだと思います。ただ、加入したばかりですから、この先試合を重ねていくことで自分のストロングポイントと仲間の特徴がもっともっとフィットして、より自然にプレーできるようになるでしょう。チャンスが少ない試合があっても、それを生かせるようにやっていきたいです」

 ここまでの11ゴールで、エリキ自身がベストのゴールだと考えているのは、開幕戦で決めたオーバーヘッドシュートのゴールだという。「いつもシーズン最初のゴールをチョイスしているので、ここでも今季のファーストゴールである水戸ホーリーホック戦のオーバーヘッドを挙げたいと思います。横浜F・マリノスの時も名古屋グランパス戦でシーズンファーストゴールをオーバーヘッドで決めたことがありましたが、今回のオーバーヘッドも自分としても気に入っている素晴らしいゴールです。6月の試合では、ほぼすべての試合でゴールを決めるか、アシストをすることができました。自分にとって『魔法の月』」でしたね」と笑顔を見せた。

 実際、直近の3試合で計4得点を挙げているエリキは、6月最初のジェフユナイテッド千葉戦(2-0)でも後半アディショナルタイムに2つのゴールをアシストしており、全試合でゴールに絡んでいる。第21節の栃木SC戦(1-1)で決めた力強いボールキープを見せて、DFチャン・ミンギュとのワンツーから柔らかいボールタッチでゴールネットを揺らした。このゴールもエリキの良さが前面に出たものだったが、この得点で最も印象深いのは、自身のプレーではないという。

「ワンツーパスというのは、子供の時からトレーニングしてきたプレーでした。その形から決めることができたのですが、ワンツーをした相手というのが、DFチャン・ミンギュです。アジアの中でもいい選手だと思っているのですが、DFの彼からのパスだったことが大きな意味があると思っています。DFの選手が、ああいう壁パスに反応してコンビネーションからゴールを生み出せるのは、能力の高さを示すものですし、僕たちの攻撃に幅をもたせてくれます。とっさにあのプレーが出て、DFの選手と連動ができたことが、このゴールを特別なものにしてくれているんです」

 どんな華麗なゴールや深いストーリーがあるゴールを決めても、シーズン最初のゴールをベストゴールに挙げるのには、理由があるのだという。

「シーズン最初のゴールは、非常に自分にとって自信になります。また、それがチームの初勝利に結び付くものでした。僕は自分のゴールよりも、チームの勝利が大事だと思っているので、最初のゴールを選びました」

「この先の道のりも非常に難しく、困難なものになる」

 前節の水戸戦(1-1)でも、相手は引いて町田にボールを持たせる戦い方を選択し、攻めあぐねる展開になった。そうした状況でもGKポープ・ウィリアムのロングボールからゴールを挙げたエリキだが、ここからは相手がより自分たちの良さを消してくるのではないかと覚悟する。

「まだシーズンの折り返しですが、僕たちが首位にいることで相手も僕たちを研究してきているので、難しさは当然あります。だからこそ僕たちは勝者のメンタリティーを持って、自分たちがチャンピオンになることを信じて、やっていくことが必要です。この先の道のりも非常に難しく、困難なものになるでしょう。でも、これは人生と同じ。すべてが上手くいくわけではありません。自分たちが進む道の過程では、苦しむ時期もあるかもしれませんが、大事なことは自分たちを信じ、最後に目標であるJ2優勝J1昇格という結果を実現できると信じ、みんなで取り組んでいきたいと思います」

 ブラジル、日本、中国で、これまでキャリアを重ねてきたエリキは、ブラジルと日本でタイトルを獲得している。十分にJ1でプレーできる実力を有しているが、2部リーグでの戦いについても、「こういう挑戦に立ち会えることをすごく幸せに思っていますし、FC町田ゼルビアというクラブの歴史に、自分の名前を刻んでいき、長くこのクラブでプレーできるように、日々のトレーニングから励んでいます」とモチベーションは高い。

「自分がプレーするすべてのクラブで自分の価値を見出すことを意識していますし、同時にクラブの存在意義をしっかり証明できるように、自分の能力を遺憾なく発揮したい。FC町田ゼルビアは正しい道を進んでいると思いますし、このクラブがビッグクラブになるために今季の優勝、J1昇格は必要な要素。このクラブ、そして町田の街は、ビッグクラブになる条件を揃えていると思うので、このクラブでプレーできるのが幸せだし、ゼルビアと町田の街がそれに相応しいと証明できるように、そしてクラブの歴史に自分の名を刻めるように、しっかりとやっていきたい」

 そう意気込むエリキだが、次の大宮戦が行われるのは7月1日。彼にとって「魔法の6月」が終わって、最初の試合になる。だが、不安はないようだ。

「今、コンディション面も含めて、非常にいい状態にあり、いいパフォーマンスが出せていると思います。しっかりとメンタル面、フィジカル面を充実させて、良いパフォーマンスを出していきたいですし、素晴らしい勝利を皆さんに届けられるように集中していきたい。7月も、さらに特別な月にするために、今までの倍動いてゴールも決めたいと思います。僕の誕生日もある月だからね」と言い、7月18日に29歳になるストライカーは「その次の8月も、また特別なものにするよ」と、笑った。

 前半戦を首位で折り返した町田だが、後半戦もその強さを示せるか。エリキの4試合連続ゴールにも期待の懸かる大宮戦、勝てば昨季の勝ち点が51だったクラブは、早くも今季の勝ち点を50まで上積みすることになる。

[プロフィール]
エリキ/1994年7月18日生まれ、ブラジル出身。ゴイアス―パルメイラス―アトレチコ・ミネイロ―パルメイラス―ボタフォゴ―パルメイラス(いずれもブラジル)→横浜FM―長春亜泰(中国)―町田。J1通算41試合21得点、J2通算22試合11得点。スピード、ドリブル、優れたゴール嗅覚を武器とする万能型FW。これまで対戦した中で最も衝撃を受けた選手はブラジル代表FWネイマール、元ブラジル代表FWロナウジーニョ。

【試合情報】
開催日:2023年7月1日(土)
カテゴリー:J2リーグ第23節
対戦カード:FC町田ゼルビア vs 大宮アルディージャ
キックオフ時間:18:00
試合会場:町田GIONスタジアム

チケット購入はこちら
https://www.jleague-ticket.jp/sales/perform/2320646/001/

情報・試合に関するイベント情報などはこちら
https://www.zelvia.co.jp/news/news-236657/

(河合 拓 / Taku Kawai)



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