2戦10発の日本代表が抱える「FW問題」 金田喜稔が指摘「今のままでは先発は難しい」
【専門家の目|金田喜稔】FWのポジション争いは「今のところ横並び」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング20位)は、6月20日のキリンチャレンジカップでペルー代表(同21位)と対戦し、4-1で快勝した。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、2戦10ゴールの森保ジャパンについて「今の問題はFW」と持論を展開している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本代表はエルサルバドル代表に6-0、ペルー代表に4-1と快勝し、6月シリーズを連勝で終えた。2戦10ゴールの攻撃陣は好調に見えるものの、金田氏はFW問題を訴える。
「今の日本代表は、三笘薫、伊東純也と両サイドに強力なドリブラーを擁する。さらに久保建英、鎌田大地、堂安律、中村敬斗など、特徴の異なった素晴らしいアタッカー陣が揃っており、ポジション争いは熾烈だ。一方、今の問題はFW。上田綺世、前田大然、浅野拓磨、古橋亨梧が6月シリーズで起用され、今回は選外となった町野修斗や西村拓真らもおり、争い自体は激しいが正直みんな決め手を欠く。圧倒的な存在感を放つ選手がFWから出てきていないのが実情だ」
エルサルバドル戦では上田綺世がPK奪取から1ゴールをマークし、後半20分から出場した古橋亨梧も1ゴールと猛アピール。一方、ペルー戦では古橋が先発し、後半16分から出場の前田が1ゴールと結果を残している。森保監督はFW陣にチャンスを与えるなか、前線の柱と言える存在は定まっておらず、「今のところ横並びに近い」と語る金田氏は語る。
「前田は、誰が見ても分かるスピードと運動量を備えている。それはカタール・ワールドカップでも証明済みで、武器としては極めて分かりやすい。同じ系統に浅野も入るだろう。また、異なるタイプで言えば上田だ。巧みなポストプレーと強力なシュートが持ち味で、ゴール前での嗅覚も兼ね備えている。大迫勇也のようなプレーで攻撃の起点となれるだけに、古橋や前田とまた異なるスタイルを持っている」
古橋を称賛「動き出しの質の高さはさすが」 今後は「他の選手との違いを見せられるか」
一方、「スコットランド1部で今季得点王に輝いた古橋に期待する声が大きいのも分かる」と口にする金田氏は、「動き出しの質の高さはさすがと思わせるものがあった」と古橋を評する。
「セルティックでゴールを量産しているし、能力の高さは誰もが認めるところだ。さらに古橋はシュートの精度も極めて高い。ペルー戦は不発だったが、動きの質、シュートの精度、多彩なゴールパターンなどが光るだけに、そこで他の選手との違いを見せられるか否か。急成長中の上田、スランプのないスピードを持つ前田などライバルもいるなか、古橋は自分の武器を駆使して違いを作らないと、今のままでは先発は難しいだろう」
6月シリーズで2戦10ゴールの破壊力を見せた日本の攻撃陣。9月にはドイツ代表との対戦も控えるなか、今後もFW問題は注目ポイントの1つだ。
金田喜稔
かねだ・のぶとし/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。