久保建英は「今季最高の男」 評価うなぎ上りの21歳に脱帽の声続出「称賛の言葉はもう見つからない」【現地発コラム】

ソシエダでプレーする久保建英【写真:Getty Images】
ソシエダでプレーする久保建英【写真:Getty Images】

アルメリア戦で今季9点目をマークした久保、決勝弾で再びMVPに選出

 レアル・ソシエダMF久保建英はアルメリア戦で決勝点となる今季9点目を記録し、再びMVPに輝いた。

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権圏内の4位をキープするソシエダは現地時間5月23日に行われたラ・リーガ第36節で、残留を目指す14位アルメリアとホームで対戦。イマノル・アルグアシル監督がミッドウィーク開催のタイトな日程を考慮してローテーションを実施し、前節FCバルセロナ戦でベンチスタートになった久保が先発復帰した。

 アルメリア相手にいつもどおり4-3-3の右ウイングに入った久保は、開始早々のドリブル突破でいきなり観衆を沸かせると、その後も積極的にゴールを狙いにいく。そして迎えた前半終了間際、右サイドからカットインしてペナルティーエリア内で左足を振り抜き、見事なコントロールショットをゴール左上隅に決め、チームに待望の先制点をもたらした。

 前半途中に退場者を出したアルメリアが、後半に入り守備を固めてきたなか、久保は後半17分にスペースを生かしてペナルティーエリア内右からシュートを放つが、わずかにポスト左に逸れてしまう。さらに終了間際にアンデル・バレネチェアの決定機を演出するも、シュートは惜しくもポストを直撃した。最後までピッチに立ち、この試合唯一の得点を挙げた久保はまたもやMVPに輝いた。

 久保は試合後、ゴールシーンについて「1回目のシュートはニアを狙ったからそれを加味して、2回目はファーを狙おうと決めていた。あの瞬間はすごく落ち着いていて、パチェコからパスが来た時に打とうと決めていた。あとは自分のリズムでスピードが出すぎないように相手の出方を見ながら、余裕を持って決められたと思う」と詳細を説明した。

 続けて、二桁得点まであと1ゴールとなった現状について、「あと1点と言わず、2点、3点とチャンスがあれば虎視眈々と狙っていこうと思っている。目標にしていた“ゴールとアシストで20点”にはまだ5点足りないからね」と、貪欲にゴールを取りに行くことを宣言した。

 また得点後に披露したクリスティアーノ・ロナウドを真似たポーズ&ダンスのゴールパフォーマンスについては、「1個目は何も考えていなくて何かしないと、と思いぱっと思い浮かんだやつをやった。2個目のほうはチームメイトからリクエストが来ていたので、ちょっとダンスをやってみた」と明かしていた。

ソシエダ番記者が久保について言及「彼はとても負けず嫌いな選手だと思うから…」

久保建英について語ったスペイン紙「ムンド・デポルティボ」のソシエダ番記者ウナイ・バルベルデ氏【写真:高橋智行】
久保建英について語ったスペイン紙「ムンド・デポルティボ」のソシエダ番記者ウナイ・バルベルデ氏【写真:高橋智行】

 アルグアシル監督がアルメリア戦後、「満足はしているが、さらに多くを望んでいる。もっとできる可能性を秘めている」とさらなる飛躍を求めていたことに対し、「イマノルのような偉大な監督が、僕の限界が今日やったことよりもはるか先にあると思ってくれているのはとても嬉しいだ」とポジティブに捉えていた。

 落とすことのできない試合が続くなか、チームを勝利に導いた久保に対し、最近ではよくある光景になっているがスペインメディアはまたもや一様に大絶賛している。

 クラブの地元紙「エル・ディアリオ・バスコ」は、「ラ・レアルを来季のCL出場に近づける値千金のゴールを記録。アキエメを苦しめ、素晴らしいボールコントロールを披露し、シュートをポストに直撃させたバレネチェアに好パスを送った。また、後半17分のシュートはわずかに枠を外れ残念だった」とチーム唯一の最高点(最高5点)をつけていた。

 もう1つのクラブの地元紙「ノティシアス・デ・ギプスコア」も、「久保に対する形容や称賛の言葉はもう見つからない。今季最高の男は完全に違いを生み出し、全責任を負い、攻撃の大部分を導く能力を備えている。絶妙なフェイントでスーパーゴールを決め、さらに後半に追加点のチャンスが何度かあり、試合を通じて危険な存在だった」と評してチームトップの9点(最高10点)と評価。さらに全国紙「マルカ」、「AS」もチーム唯一の3点(最高3点)を与えていた。

 一方、スペイン紙「ムンド・デポルティボ」でソシエダの番記者を務めるウナイ・バルベルデ氏は、アルメリア戦での久保のパフォーマンスをどのように見たのだろうか。

「今日はすべてがとても良かったよ。彼はとても負けず嫌いな選手だと思うから、先日のバルサ戦でベンチスタートになったことで、今日は違いを生み出せる選手になれるように、いつも以上に気合を入れて臨んだんだと思う。また、もしゴールを決めなければ人々はあまり覚えていないとも語っていたので、今日はより積極的にプレーしたんじゃないかな。スーパーゴールを決める素晴らしい活躍を見せ、サポーターに喜びを与えてくれた」と少年時代に所属した古巣相手のスタメン落ちが、アルメリア戦ではプラスに働いたと分析した。

久保建英のゴールに沸いたソシエダの本拠地レアレ・アレーナ【写真:高橋智行】
久保建英のゴールに沸いたソシエダの本拠地レアレ・アレーナ【写真:高橋智行】

久保は「まだ限界に達していないはずだ」 番記者が期待「来季はさらに良くなる」

 またバルベルデ記者は、シーズン自己最多得点を更新し続けている21歳の久保の4季目について、「昨季まではレギュラーになれない苦しい時期を過ごすこともあったが、今季はあそこまでパフォーマンスを大きく改善するという、非常に難しいことをやってのけている」と、昨季までと見違えるほどの成長を遂げている姿に驚いた様子を見せていた。

 続けて、「その結果として、今は最高の瞬間を迎えているんだと思う。あんなにも調子がいいのに、ここで発揮しているレベルのプレーを日本代表で見せられていないのは少し残念だけどね。彼は今、キャリアハイの成績を残しているが、まだ限界に達していないはずだ。もっと向上できるだろうし、来季は間違いなくさらに良くなると思う」と、スペイン5季目に大きな期待を寄せていた。

 早いもので久保の今季もあと2試合のみ。シーズン序盤から口にしていた来季のCL出場の夢が実現するかどうか、あとわずかで決定する。

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高橋智行

たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。

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