J1鹿島、なぜV字回復に成功? 15位低迷→上位戦線へ急浮上の背景…激変へ導いた“3選手の抜擢”

リーグ戦ここ6試合負けなしで4位浮上の鹿島【写真:徳原隆元】
リーグ戦ここ6試合負けなしで4位浮上の鹿島【写真:徳原隆元】

【J番記者コラム】リーグ戦ここ6試合負けなしで4位浮上、好調に導かれた要因とは

 鹿島アントラーズは岩政体制で臨む今シーズン、序盤戦で大きく躓き、一時15位まで落ち込む低迷ぶりを見せながら、アルビレックス新潟戦の勝利をきっかけに大きくジャンプアップ。リーグ戦ここ6試合負けなしで4位浮上と見事なV字回復を遂げた背景に迫る。

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 J1リーグの首位に立つヴィッセル神戸の背中が少し見えてきた。

 今季開幕戦で京都サンガS.C.に2-0で勝ち、白星スタートを切りながら、第5節から4連敗を喫して15位に低迷していた鹿島が、4位にまで急浮上(第14節終了時)した。昨季途中からチーム改革を託された岩政大樹監督の下、目指すサッカーがいよいよ開花し始めている。

 ターニングポイントとなったのは第9節の新潟戦だ。それまで今ひとつしっくりいっていなかった守備面を改善すべく、岩政監督は中盤に仲間隼斗と名古新太郎を、2トップの一角にクラブ生え抜きFWの垣田裕暉を抜擢した。

 彼ら3人は新潟戦で今季初スタメン。労を惜しまぬハードワーカーで、開始早々から持てる力を出し惜しみせず、アグレッシブにボールを追いかけた。FWの垣田は今季初ゴールを決めるなど攻撃面でも結果を残し、2-0の勝利に貢献。彼らの献身的なパフォーマンスが連敗を4で食い止める下支えになったのは確かだろう。

 4枚の最終ラインと4枚の中盤ラインで2層のフィルターを作り、さらに2トップが蓋をかぶせるような、水も漏らさぬコンパクトな守備の陣形。攻撃の糸口をなかなか見出せず、苦慮する新潟の姿がそこにあった。

 岩政監督は常々、「守備の順番を間違えないにしよう」と選手たちに伝えている。球際での激しさはもちろん、サイドチェンジに対する素早いスライド、ゴール前の最も危険なエリアに簡単にボールを入れさせないきめ細かな対応など、4-4-2システムを基調にした「連係・連続・連動した守備」の構築に挑戦中だ。

 新潟戦を境に、その前とあとでは、明らかにチームは激変。フィールドプレーヤーでただ1人リーグ戦全試合にフル出場しているディフェンスリーダーの植田直通が次のように語っている。

「それぞれの役割がハッキリしてきたし、ボールを“持たれている”というより“持たせている”という感覚のほうが強い。たとえ流れが悪くても耐えていれば勝ちにつながると思いながらプレーできている」

 前線でのチェイシングやプレスバックなど、守備における奮闘も見逃せないFWの鈴木優磨が、こう同調する。

「試合を通して、相手にチャンスらしいチャンスを作らせていないと思う。俺らの守備をすごく嫌がっているなって。それをピッチのなかで感じる」

「何かを急に変えたのではない…」 積み上げの成果を強調する指揮官

 新潟戦から5試合連続のクリーンシートが示すとおり、試合の内容とともに結果が伴うことで、選手たちは自信を深めた。チーム内に活気が溢れ、ポジティブな循環が生まれている。

「前の選手たちがプレスにいって、しっかりコースを限定してくれるので、自分のところで狙いが絞りやすい。すごく助かっているし、感謝したい」と、ボランチを主戦場とする樋口雄太が言えば、「守備に入った時の全体的な距離感が良いと思う。自分たちが崩れなければ、簡単にはやられないという自信がある」と、右サイドハーフとしてスタメンに定着していた名古の表情も明るい。

「何かを急に変えたのではなく、今まで積み上げてきたものがやっと成果として表れてきた。チームは次の段階に入っている。これを継続していかなければいけないし、試合に出る選手が入れ替わっても同じようにできることが重要だ」(岩政監督)

 守備の改善を足掛かりにV字回復した鹿島。7年ぶりのJリーグタイトル奪還に向けて、着手すべき課題はまだまだあるだろう。ここからどこまで進化していくのか、大いに注目したい。

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(小室 功 / Isao Komuro)



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