Jリーグが検討するVARの“セントラル方式”って? 通信コストの課題がネックに「日本では難しい」

Jリーグがブリーフィングを実施(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】
Jリーグがブリーフィングを実施(写真はイメージです)【写真:徳原隆元】

今後の対応策の1つ「VARのセントラル方式」には多くの課題が並ぶ

 Jリーグは5月16日に「VAR不実施に関するメディアブリーフィング」を実施し、J1リーグ第12節アルビレックス新潟対柏レイソル戦(0-0/5月7日)で起こったVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の機材が届かなかった事象について説明。その際、今後の対応策の1つ「VARのセントラル方式」についても現状の課題を挙げている。

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 同月7日に行われた新潟対柏の試合では、連携する会社との連絡が上手くいかずVAR機材を載せた車両が当日未着となる事象が起こった。Jリーグは緊急措置として、両クラブ側に説明を施したうえで、主審、副審、第4審判員の4人で試合を遂行している。

 メディアブリーフィングでは、問題が起こった要因について委託している会社との「確認のミスが発端」とJリーグ側が説明。「本来あるべきものがなかったことにお詫びしたい」と謝罪の言葉も述べている。

 そうしたなか記者から「VARの機材が届かないと分かった時点で、追加副審を入れる判断はあったか」という質問が飛ぶと、「1つのアイディアとして当日に考えた」と当日の議題に上がっていたことを明かした。

「1つのアイディアとして当日に考えたが、JFA(日本サッカー協会)との連携で、AAR(追加副審)は世界的にも実施しておらずにトレーニングもしていない。別の混乱をきたす可能性があるので、今後も4名でやるのが適切ではないか」

 また、今後審判団が追加副審のトレーニングを行う可能性についても「(今のところ)ないです」と回答している。

セントラル方式は移動のリスクを回避できるが、その一方で高額な費用が懸念点

 今回のVAR未着となった事象の改善案の1つには「VARのセントラル方式」(VARの拠点を決めて機材と人員を配置する方法)がある。移動のリスクを回避できるが、その一方で懸念点も多数あるという。

「常に内部では検討を進めている。この対策も完璧ではないだろうし、100%のものは難しいだろう。例えば、全会場で前日入りすることや、ドライバーの複数人体制も考えられるが費用のこともある」

 特に費用面では、すでにセントラル方式を実施している海外と、日本との違いを挙げた。

「各国によって費用や品質も違うが現在の日本では難しい。回線の料金は海外に比べても高い。オーストラリアなどと比べると国土が狭いのでコストは安くなる部分もある。一方で今は中継車から全ての画面を受けているが、セントラルになると全ての会場のすべての映像を受けないといけない。現在中継でお届けしている映像は1本でバックアップ回線が1本。VARだとリアルタイムですべての映像が遅延なく届かなければいけないとなると、比較検討した時に回線の料金がかなり高額になる」

 そのうえで「現在のオペレーションが今は最善」と主張し、中継映像制作の体制も絡んでくるセントラル方式について、実用に至るまでまだ時間がかかる可能性を指摘している。

 すでに10日の第10節浦和レッズ対サガン鳥栖戦(0-2)から、「B社とドライバーの確認は複数人が行う」「返信の義務付けや確認を行い、A社もメールに入っての確認」「Jリーグも含め、A社とB社と連携してスケジュール確認もする」「到着確認などの報告を義務付ける」といったレギュレーションの改善を実施しているとするJリーグ。今後は、すべての機材を前日届ける、ドライバーを2名体制にするなどの案も含めて検討されていくようだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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