FC東京の渡邊凌磨が振り返るスーパーゴール 「ああいうゴールはないのが理想」と語る訳は?

FC東京の渡邊凌磨【写真:Getty Images】
FC東京の渡邊凌磨【写真:Getty Images】

後半23分のジャンピングボレーを振り返る

 FC東京は4月15日のJ1リーグ第8節のセレッソ大阪戦に1-2で敗れ、前節の湘南ベルマーレ戦(2-2)から続いたホームでのリーグ戦2連戦を1分1敗とした。結果が出なかったFC東京において、この試合でFW渡邊凌磨が決めたスーパーゴールは、ファン・サポーターの悔しさを薄めるものだったに違いない。

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 後半23分、渡邊はDF中村帆高からのアーリークロスをペナルティーエリア外で胸トラップすると、浮いたボールに合わせて反転し、ジャンピングボレーでボールを捉えた。しっかりとミートしたシュートはゴール右に決まって、FC東京は一時的に1-1の同点に追い付いた。

 試合後の「ボールを受ける前にGKが前に出ているっていうのが頭にあったから、シュートを打とうと思ったので、あのシュートを思い切って決めました」と振り返る。過去にこれだけのスーパーゴールを決めたことはあったかと聞かれると、「ないです、ないです。これからもないです」と笑い、キャリアのベストゴールになる可能性を挙げた。

 このゴール、守っているC大阪にとっては、防ぐのが不可能に近いものだった。予想外の位置から、予想外の形で飛んできたシュート。見る者には、今日、見に来て良かったと思わせるような一撃だったが、渡邊自身の評価は高くない。むしろ、「ああいうゴールはないのが理想ですし、正直、オレもああいうふうに点を取りたくない」とさえ口にした。どういうことか。

 アルベル・プッチ・オルトネダ監督の率いるFC東京は、チームとして相手の守備を崩すパスサッカーに取り組んでいる。ボールを大切にするサッカーを標榜するなかで、このロングボールから決めたロングシュートは、チームの目指すスタイルを示すものからは程遠い。前述のコメントのあとに渡邊は「チームとしてもやってきている形で点を取りたいのが理想」と続けている。

「上にいくチームは、なんか点が入ったりとか、セットプレーでごちゃごちゃとなってオウンゴールが決まったりすると思う。もちろん、ああいうゴールも必要だけど、そこにこだわる必要はない。それがあるから勝てていないというわけではない。それがあるから上にいけるというのは、あるかもしれないけど、その逆はないから。だからそんなにそこ(こうしたゴールが少ないこと)にベクトルを向ける必要はないかなと思っています」

 あくまでも重要なのは、チームが目指す形を安定して体現できること。スーパーゴールにもまったく浮かれることなく、チームのステップアップを願った渡邊が、心から喜べるゴールを挙げてくれることを、この日、雨の中でスーパーゴールを目撃したファン・サポーターも願っているはずだ。

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