森保ジャパン、選手の“固定化”はリスクあり W杯では半数以上の選手が入れ替わる可能性も?

選手の固定化で考えられるリスクとは?【写真:徳原隆元】
選手の固定化で考えられるリスクとは?【写真:徳原隆元】

【識者コラム】森保監督がコロンビア戦前日の公式会見で、メンバーを基本変えないことを明言

 3月27日、日本代表の森保一監督はコロンビア戦前日の公式会見で、メンバーの固定化を明らかにした。

 森保監督は記者からの質問でコロンビア戦のメンバー構成を聞かれると「戦手起用については、基本的にはウルグアイ戦のメンバーが中心とは思いますが、何人か変えていく」と語った。

 またGKについても「経験の浅い選手にチャンスを与えてあげたいという気持ちはありますが、明日に関してはシュミット・ダニエルを連続で、今の段階では起用しようと思っています」と連続起用を明言している。

 森保監督はワールドカップを経て方針を大きく変更したようだ。これまでの監督は招集した選手たちに平等にチャンスを与えようとしていた。

 昨年9月の活動を前に「6月は選手全体にプレーの機会、時間を少しでも長く持ってもらいながら、より多くの選手にプレーしてもらおうと4試合戦いましたが、今回はある程度カタール・ワールドカップ(W杯)を見据えて選手の起用も考えたい」と本大会に向けて選手の出場時間を傾斜配分すると語っている。つまり、その時までは選手の出場時間について最大限の配慮をしていたのだ。

 だが今回、森保監督はあえてウルグアイ戦の先発メンバーを多く使う構想でいる。まだ第2次森保ジャパンは立ち上がったばかり。森保監督が「ラージグループ」と呼んできた代表候補の選手たちを、年齢層を下げつつ広げる段階でいいのではないだろうか。

 チーム作りを急がなければいけない理由として考えられることはある。11月にはもうW杯予選が始まることだ。それまでに代表選手を招集できるのは、この3月の2試合を含めて8試合。一定の形を作りたいと考えると、まず3月でサイドバック(SB)がインサイドに入る戦術に一定の目処を付けたいと考えているのかもしれない。

 だが、現時点での固定化はリスクを伴う。たとえば2018年、初めて森保監督が指揮を執ったコスタリカ戦に選んでいた23人のうち、22年カタールW杯のメンバーに入れたのは8人。しかも枠が26人に増えていたのだ。初期メンバーからは65%が入れ代わっている。

 その点を考えると、現時点では多くの選手にいろいろな戦術を試させておくべきではないだろうか。もし前回と同じ割合なら、今回招集したメンバーから17人は入れ代わってしまうのだから。

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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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