J1リーグ「株上げ必至」新天地で輝く7人 好プレーで“即”貢献の新戦力を厳選
【識者コラム】飛躍を感じさせる新天地移籍組7人をピックアップ
J1リーグは開幕から3試合を終え、各クラブの明暗が分かれた。そのなかで、注目すべきポイントの1つが新天地で輝きを放つ選手の存在だろう。ここではシーズン序盤からインパクトを残し、さらなる飛躍を感じさせる「株上げ必至」の新天地移籍組7人をピックアップして紹介する。
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■齊藤未月(MF/ヴィッセル神戸 ← ガンバ大阪)
中盤でボールを奪い取って、効果的なファーストパスを味方に付ける。求められる仕事はシンプルだが、それをやり切る能力が高く、しかも90分落とさない。昨シーズン所属したG大阪でもやっていたことだが、MF山口蛍とのコンビで効果を高めている。エースのFW大迫勇也はもちろん、MF汰木康也など、前向きに仕事をするほど能力を発揮しやすいタレントを輝かせる効果もあり、これを継続できれば欧州組が占有している代表の中盤に食い込むことも可能だろう。
■井上健太(MF/横浜F・マリノス ← 大分トリニータ)
マリノスのウイングとしてはまだ粗削りなところもあるが、慣れない環境でも自分の特長を出し切ろうという意識がインパクトにつながっている。右サイドでスピードに乗ってボールを受ければ、どんどん縦に仕掛けてマイナスのクロスに持ち込む。初スタメンとなった第3節のサンフレッチェ広島戦ではJリーグを代表する左DF佐々木翔と熱いバトルを繰り広げた。そうした武器を強みにしながらも、マリノスらしい崩しやコンビネーションに絡んだり、個の仕掛けと組み合わせてゴールやアシストに結び付けたりできるのはこれからだろう。
■樺山諒乃介(FW/サガン鳥栖 ← 横浜F・マリノス)
第2節ガンバ大阪戦で決めた破壊的なドリブル突破からのゴラッソ弾で特大なインパクトを放った。海外でのプレーを目指す樺山にとっても、改めて自信を強めるゴールになったようだ。同じく今季新加入のFW横山歩夢のような爆発的なスピードはないが、軟体動物のようなボールタッチと身のこなしで、ディフェンスに囲まれても打開してしまう。沖縄キャンプでは左サイドでほぼ固定的だったが、3-4-2-1ではシャドーに加えて右ウイングバックも担うなど、守備のタスクもこなしながら局面でスペシャリティーを発揮している。後半途中からの出場が続いてはいるが、さらに重要性が増していきそうだ。
町田から新加入のMF佐野が、鹿島の中盤で圧倒的なボール回収力を発揮
■小野瀬康介(MF/湘南ベルマーレ ← ガンバ大阪)
G大阪時代の“恩師”でもある山口智監督の期待に応えて、湘南の中盤に安定感と力強さの両面を加えている。「本来の輝きを取り戻させたい」と指揮官は言い、これまでサイドアタッカーのイメージが強かったが、湘南では3-1-4-2のインサイドハーフとして、持ち前の機動力に加えてキープ力や展開力も発揮している。一番の武器は飛び出しからのフィニッシュで、ペナルティーエリア内に走りこむだけでなく、ミドルレンジからゴールを狙える。2トップに供給するラストパスも魅力で、湘南に足りなかった決め手を加えることができる選手だ。
■キャスパー・ユンカー(FW/名古屋グランパス ← 浦和レッズ)
長谷川健太監督が2年目となる名古屋で“ラストピース”になり得る正真正銘のストライカー。186センチの長身だが空中戦や競り合いよりも縦のスピードを生かした抜け出しやワンタッチのフィニッシュを得意とする。フルシーズン稼働できれば確実に得点力アップをもたらすはずだが、前所属の浦和レッズでは怪我やコンディションを理由に欠場することが少なくなかった。名古屋でハードワークが求められるなか、ユンカーにはある程度、攻め残りを許容しながら相手ディフェンスにプレッシャーをかけることで、なるべく攻撃にエネルギーを使えるようにしていくと考えられる。
■佐野海舟(MF/鹿島アントラーズ ← FC町田ゼルビア)
“名は身体を表す”と言うが、中盤で圧倒的なボール回収力を発揮する。4-3-3のアンカーとしてMF樋口雄太やMFディエゴ・ピトゥカに攻守両面で前向きなプレーをさせるなど、J2町田から鹿島に来て1年目とは思えないほど、開幕戦から欠かせない存在となっている。攻撃面のタスクはボールを奪ってからのファーストパスの質だが、少なくとも簡単にボールロストするようなことはなく、左右のウイングにシンプルにボールを預けるシーンが目を引く。局面でボールを奪うだけでなく、全体を動かせるようなってくれば、鹿島のチームとしての強度がさらに上がって行きそうだ。
■小泉 慶(MF/FC東京 ← サガン鳥栖)
“兄貴”の異名をとるほどリーダーシップに溢れる獅子奮迅のMF。加入してすぐにアルベル・プッチ・オルトネダ監督の信頼を勝ち取り、4-3-3のインサイドハーフとして開幕戦から3試合フル出場を果たしている。セカンドボールの奪取力が非常に高く、トランジションから幅広くボールに関わりながら、相手が狙う危険なところも見逃さない。中盤の主力の1人であるMF松木玖生がU-20アジアカップで数試合いないこともあり、予選を突破した場合に5月のU-20ワールドカップでさらに欠くことを想定すれば、MF東慶悟やMF塚川孝輝と連係や立ち位置の関係を強化して、もっとバイタルエリアに関わっていくようなシーンを増やして行ければ、守備の安定を確保しながら得点チャンスを増やしていけそうだ。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。