日本代表OBがJ1得点王争いを展望 「日本サッカー界の未来のため」と期待した逸材は?

元日本代表DF栗原勇蔵氏がJ1得点王争いを展望(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
元日本代表DF栗原勇蔵氏がJ1得点王争いを展望(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

【専門家の目|栗原勇蔵】柏の21歳FW細谷真大に15~20ゴールを期待

 2023年シーズンのJリーグが開幕したなか、「FOOTBALL ZONE」では30周年を記念し特集。現役時代、横浜F・マリノス一筋で18年間プレーし、リーグ優勝も3回経験した元日本代表DF栗原勇蔵氏に今シーズンのJ1得点王レースを占ってもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 昨季のJ1得点王は清水エスパルスのブラジル人FWチアゴ・サンタナが輝いたが、14ゴールでの受賞はJ1史上最少、J2降格チームから得点王が出るのはリーグ史上初の出来事だった。

 元日本代表DF栗原氏は、「現代サッカーでは個人で得点を取るというよりも、チームで取る傾向が強いので、どうしても強いチームのほうが点を取りやすい。あとは、その選手にどれだけ依存したサッカーをやってるか」と分析する。そして、得点王を占ううえで、「得点力がありそうなチームで、安定して得点を取れそうな選手」を予想基準とした。

 まず、筆頭候補に挙げたのがリーグ2連覇を目指す横浜F・マリノスのブラジル人FWアンデルソン・ロペスだ。2021年(12ゴール)、22年(11ゴール)と2桁得点をマークしており、第2節浦和レッズ戦(2-0)で今季初ゴール。栗原氏も「能力、実績とも折り紙付きで、マリノスのあのポジション(3トップの中央)をやっていたら得点は取りやすい」と“量産”に期待を寄せる。

 今後のリーグを背負っていくであろう柏レイソルの21歳FW細谷真大にも、「チャンスはある」と栗原氏は注目する。パリ五輪世代の俊英は、プロ3年目の昨季J1で自己最多の8ゴールを記録。今季も開幕から2試合連続ゴールと好スタートを切った。

「細谷の特徴はやはり推進力。スピードがあるし、スピードに乗ったなかでシュートをしっかり打てるのが強みだと思います。なんでもできる万能タイプ。日本サッカー界の未来のためには、細谷のような選手が15~20得点は取ってほしい」

 昨季13ゴールで得点ランキング2位となり、カタール・ワールドカップ(W杯)にも出場した湘南ベルマーレの日本代表FW町野修斗について、栗原氏は「開幕戦でハットトリックの大橋(祐紀)にマークが行けば、町野が空く」と、上位争いに食い込んでくる可能性を示唆した。

完全復活を目指すG大阪の宇佐美貴史(写真は昨シーズンのもの)【写真:Getty Images】
完全復活を目指すG大阪の宇佐美貴史(写真は昨シーズンのもの)【写真:Getty Images】

FC東京の3トップは強力ゆえに得点が分散!?

 開幕2試合連続ゴールを記録した鹿島アントラーズの新加入FW知念慶、2試合連続アシストのFW鈴木優磨も候補に挙げた一方で、栗原氏はFC東京のブラジル人FWディエゴ・オリヴェイラ、ブラジル人FWアダイウトン、元日本代表FW仲川輝人の3トップに関しては「誰でも得点が取れるし、攻撃パターンも多くなりそうなので、ゴールが分散して逆に得点王は難しくなるかもしれません」と見立てた。

 また、右アキレス腱断裂を乗り越えて完全復活を目指す日本代表FW宇佐美貴史に対しては、「昔のように、最後のフィニッシュまで行き切れるかどうか」と見解を述べる。

「宇佐美は昨年大怪我をして、正直読めないところがあります。開幕節の柏戦の得点は、上手い具合にゴールに向きながら相手のマークの間を縫ってネットを揺らしましたね。ただ、宇佐美はパスも上手い。実力的には2桁ゴールは決して難しくはないと思いますが、チャンスメイクに回る可能性もあるのかなと思います。ゴールを奪う、特に得点王を獲るには、『自分が取る』というエゴが必要になってきます」

 30周年の節目のシーズンで、得点王の栄冠は誰が手にすることになるだろうか。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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栗原勇蔵

くりはら・ゆうぞう/1983年生まれ、神奈川県出身。横浜F・マリノスの下部組織で育ち、2002年にトップ昇格。元日本代表DF松田直樹、同DF中澤佑二の下でセンターバックとしての能力を磨くと、プロ5年目の06年から出場機会を増やし最終ラインに欠かせない選手へと成長した。日本代表としても活躍し、20試合3得点を記録。横浜FM一筋で18シーズンを過ごし、19年限りで現役を引退した。現在は横浜FMの「クラブシップ・キャプテン」として活動している。

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