玉田圭司が予想するJ1得点王争い 覚醒を期待するC大阪のホープとは?

今季得点王は誰の手に?(写真はイメージです)【写真:Getty Images】
今季得点王は誰の手に?(写真はイメージです)【写真:Getty Images】

【専門家の目|玉田圭司】外国籍選手を列挙するなか、日本人で第一に名前を挙げたのは横浜FMのFW西村

 2023年シーズンのJリーグが開幕したなか、「FOOTBALL ZONE」では30周年を記念して特集。現役時代、柏レイソルや名古屋グランパス、セレッソ大阪などで活躍した元日本代表FW玉田圭司氏に、今シーズン注目の選手を聞いた。(取材・構成=河合 拓)

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 サッカーの華と言えば、ゴールだ。シーズンで最も多くの得点を挙げる得点王に、誰が輝くのか。Jリーグでは、これまで多くのスター選手がプレーしてきた。

 現役時代にJ1リーグで99ゴール、J2リーグで34ゴールとJリーグの舞台で計133ゴールを挙げている玉田氏は「やっぱり前線に関しては、外国籍選手のほうが多いと思うので、日本人が絡めるかどうかは分からないと思っています」と持論を展開する。

「力のある選手で言えば、横浜F・マリノスのエウベル選手、名古屋グランパスのキャスパー・ユンカー選手、マテウス選手は、得点を取る特別な力を持っていると思うので、得点王争いに絡んでくると思います」と数人の名前を列挙した。

 そのほかにも、「得点力のある横浜FMでは、FWアンデルソン・ロペス選手、それに開幕戦でゴールを挙げた西村拓真選手もトップ下のような形ですが、マリノスがああいうサッカーをするのであれば、得点を量産できる可能性もあると思います」と、昨季王者から去年10ゴールを挙げた日本人FW西村の名前も挙げている。

 さらに「(ヴィッセル)神戸の大迫勇也選手もストライカーですし、湘南(ベルマーレ)の町野(修斗)選手も、彼らにチームとして点につながるというボールを供給できれば、決める力は持っている選手だと僕は思っているので絡んでくる可能性もありますね」と語った。ここに柏レイソルのFW細谷真大が絡めるかは、チーム内で与えられる役割によって変わるのではないかと言う。

「昨シーズン、加入してから負傷が続いているドウグラス選手が復帰した時にどうなるかですね。サイドに回ったり、サブになってしまったりすることになれば、難しくなるでしょう」とドウグラスの復帰前にどれだけ得点を挙げて、チームに貢献できるかが得点王争いに絡むうえでもポイントになると分析した。

 昨シーズンは、鹿島アントラーズで得点ランクトップに立っていたFW上田綺世が、シーズン途中にベルギー1部セルクル・ブルージュに移籍。ゴールという目に見える結果を残せば、そういう未来も開けてくるかもしれない。

 自身は日本でプロのキャリアを全うした玉田氏は「僕も海外でやってみたかった思いはありましたよ。ただ、今ほどJリーグがヨーロッパから注目されていなかった時代ですし、海外からのオファーはほぼなかったんじゃないですかね。羨ましいですよ」と、海外からも注目が増した現在のJリーグについて語っている。

玉田氏が注目選手に挙げた北野颯太(写真は昨シーズンのもの)【写真:Getty Images】
玉田氏が注目選手に挙げた北野颯太(写真は昨シーズンのもの)【写真:Getty Images】

玉田氏が考える若い選手が活躍する条件「負けん気が強い」「強みがある」

 昨シーズンには、FC東京のU-20日本代表MF松木玖生がブレイクした。高卒ルーキーでレギュラーの座を射止め、チームの中心選手として活躍。迎えた今シーズン、玉田氏は新たに期待している若手にC大阪のFW北野颯太の名前を挙げて「開幕戦でもいいプレーをしていたので、彼に注目したいと思いますね」と称賛を語った。

 さらに玉田氏の古巣でもある小菊昭雄監督が率いるC大阪には、北野の成長にも適した環境があるのではないかと指摘。「セレッソ時代、コーチだった小菊さんにはお世話になりました。いろいろな話を聞いて、すごく全体を見れているコーチでした。監督を支えることもしながら、試合に出ている選手だけでなく、出ていない選手にも声掛けをしていました。和を作ることもできるでしょうし、『この監督のために』という選手も多いと思います。すごく一体感のあるチームになると思いますよ」と期待を込めて話している。

 若い選手が活躍する条件については、2つ挙げている。「負けん気が強いほうがいいと思います」と気持ちの部分での強さを求めた。「試合に出て『どうにかなるだろう』と思うよりは『自分がどうにかしてやる』というメンタルを持っている選手が、1年目からでもある程度結果を出せると思うし、地位を築けると思います」そしてもう一方の条件として「強みがある選手が強いですね」と自身の持つ考えを述べている。

「足が速いとか、シュートが上手いとか、ドリブルが上手い、仕掛けられる。何か1つの強みを持っている選手は、試合にも出られるし、試合に出ながら成長ができます」

 また「チームメイトも強みが分かっていれば、その得意なプレーをやらせようとしてくれます。ベテランがいて『俺らが何とかするから、お前はその強みを出せよ』という形を作ってくれれば、その若い選手はぐっと成長すると思います」とチームの相乗効果でより強みが生きてくると考察した。

 多くの見どころがありそうな、今シーズンのJリーグ。最後に玉田氏に今シーズンは何を期待しているかを尋ねた。

「やっぱり勝負事なので、勝ち負けっていうのがもちろん絶対ついてくるものです。そのチームのサポーターからも、勝たなければ不満が出るかもしれません。ただ、そういうなかでもやっぱり『見ていて面白い』とか、本当に良いサッカーをするとか、ワクワクするという試合が多くなってほしいなと思います。そうすれば、サッカーを見る人たちも増えると思うんですよね。昨年のワールドカップを見て来てくれるお客さんも、いると思うんです。そういう人たちを入れ込むためには、チームのスタイルを確立して、サッカーに興味を持ってくれる人がたくさん増えるようにすることも大事だと思います」

[プロフィール]
玉田圭司(たまだ・けいじ)/1980年4月11日生まれ、千葉県出身。名門・習志野高校から99年に柏レイソルへ入団。プロ5年目で主力に定着し、2桁得点をマークした。2004年に日本代表へ初招集。名古屋グランパスへ移籍した06年にはドイツW杯へ出場し、第3戦ブラジル戦でゴールを決めた。10年南アフリカ大会でW杯2大会連続出場。国際Aマッチ通算72試合16得点を記録した。セレッソ大阪、V・ファーレン長崎にも所属し、Jリーグ通算511試合131得点した左利きのストライカー。21年に現役を引退した。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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