【戦評】負ければグループ敗退のアルゼンチン、エースが意地の一発

　カタール・ワールドカップ（W杯）は大会7日目を迎え、前回王者フランス代表の決勝トーナメント進出一番乗りが決定。オーストラリア代表はJ2のファジアーノ岡山でプレーするFWミッチェル・デュークが決勝ゴールを奪い大会初勝利を挙げた。ポーランド代表はFWロベルト・レバンドフスキが念願のW杯初ゴールを挙げてサウジアラビア代表を撃破。そして、崖っぷちに追い込まれていたアルゼンチン代表はFWリオネル・メッシの一撃で起死回生の勝利を手にしている。

■チュニジア　0-1　オーストラリア
グループD第2戦
キックオフ：現地時間11月26日13時（日本時間26日19時）

1-0　前半23分　ミッチェル・デューク（オーストラリア）

　初戦でフランスに敗れたオーストラリアは背水の陣だったが、前半23分に左サイドからのクロスが相手に当たってコースが変わったところをデュークが上手く頭で合わせた。チュニジアの攻撃時間が長い試合展開だったが、高さのあるオーストラリアの最終ラインは強固で、アジア最強GKの評判もあるマシュー・ライアンも安定感のあるセービング。1点を守り切ったオーストラリアが大会初勝利で決勝トーナメント進出への望みをつないだ。

■ポーランド　2-0　サウジアラビア
グループC第2戦
キックオフ：現地時間11月26日16時（日本時間26日22時）

1-0　前半39分　ピオトル・ジエリンスキ（ポーランド）
2-0　後半37分　ロベルト・レバンドフスキ（ポーランド）

　初戦でアルゼンチンを下して世界を驚かせたサウジアラビアはこのゲームでも積極的な攻撃を見せたが、ポーランドが前半にゴールキックから右サイドを切り崩してMFピオトル・ジエリンスキのゴールで先制。ハーフタイム直前にはサウジアラビアがPKを得たものの、ユベントスでプレーするポーランドの守護神GKボイチェフ・シュチェスニーがファインセーブでゴールを守った。そして後半ラスト10分を切ったところで、エースのレバンドフスキが念願のW杯初ゴールを決めてポーランドが突き放した。

■フランス　2-1　デンマーク
グループD第2戦
キックオフ：現地時間11月26日19時（日本時間27日1時）

1-0　後半16分　キリアン・ムバッペ（フランス）
1-1　後半23分　アンドレアス・クリステンセン（デンマーク）
2-1　後半41分　キリアン・ムバッペ（フランス）

　欧州ネーションズリーグでの直接対決ではデンマークが2勝という結果が示すように、フランスは思ったようにゲームを運べずに苦しい時間が続いた。後半にエースのFWキリアン・ムバッペが先制点を奪ったものの、デンマークもセットプレーから同点ゴール。このまま引き分けかと思われたが、ラスト5分を切ったところでフランスは右サイドからのクロスにファーサイドでムバッペが飛び込んで決勝ゴール。2連勝で決勝トーナメント進出の一番乗りを決めた。

■アルゼンチン　2-0　メキシコ
グループC第2戦
キックオフ：現地時間11月26日22時（日本時間27日4時）

1-0　後半19分　リオネル・メッシ（アルゼンチン）
2-0　後半42分　エンソ・フェルナンデス（アルゼンチン）

　初戦の敗戦で、このゲームに敗れるとグループリーグ敗退が決まる崖っぷちのアルゼンチンは難敵メキシコを相手に攻めあぐねたが、5大会連続出場となる“神の子”FWリオネル・メッシが後半19分にゴール正面から左足を一閃して強烈ミドルで先制点。試合終了間際にもMFエンソ・フェルナンデスが追加点を奪って勝利し、決勝トーナメント進出への望みをつないだ。一方のメキシコは2戦を終えて未勝利で、グループ突破には最終戦のサウジアラビア戦に勝利したうえで他会場の結果待ちという状況になった。

【グループ順位】グループCは混戦、2位浮上のアルゼンチンも油断できず…

■グループC
1位　ポーランド　勝ち点4（得失点差＋2）
2位　アルゼンチン　勝ち点3（得失点差＋1）
3位　サウジアラビア　勝ち点3（得失点差－1）
4位　メキシコ　勝ち点1（得失点差－2）

■グループD
1位　フランス　勝ち点6（得失点差＋4）
2位　オーストラリア　勝ち点3（得失点差－2）
3位　デンマーク　勝ち点1（得失点差－1）
4位　チュニジア　勝ち点1（得失点差－1）

　グループCではポーランドがサウジアラビアを下して首位に浮上し、アルゼンチンは起死回生の勝利で2位に浮上した。とはいえ、最終戦にポーランドとアルゼンチンの直接対決が起こるためアルゼンチンは全く油断のできる状態ではない。サウジアラビアはもちろん、メキシコも勝利すれば得失点差での争いになる可能性があるものの突破することが十分に可能。同時刻キックオフとなるだけに、他会場の動向にも気を配りながら試合終盤を過ごすことになる可能性が高い。

　グループDはフランスが2位以内を確定させ、最終戦で敗れても得失点差の関係で1位を維持できる可能性が高く次戦ではターンオーバーも可能になった。オーストラリアはデンマークを相手に引き分け以上で2006年ドイツW杯以来となるグループリーグ突破という優位な状況を手にしている。このゲームは大きな注目を集めるだろう。チュニジアはフランスからの勝利が絶対条件という厳しい立場に追い込まれたが、可能性が消滅したわけではない。