中田英寿は「ピッチ外では優しかった」 “職人”明神智和が明かす日韓W杯の舞台裏

自国開催でベスト16に進出した日本代表【写真:Getty Images】
自国開催でベスト16に進出した日本代表【写真:Getty Images】

同じ右サイドを担った松田直樹とは絶妙な信頼関係を構築

 日韓W杯の日本代表と言えば、直前の欧州遠征でメンバーから外れていた34歳の中山雅史、31歳の秋田豊と経験豊富なベテランがサプライズ選出されたことも話題となった。最年長の中山は、グループリーグ第2戦のロシア戦(1-0)で後半27分から途中出場したのみ、秋田は大会を通して出番はなかったが、2人は控えの立場を理解したうえで、先頭に立ってチームを盛り上げていった。その真摯な姿勢に、明神も刺激を受けたという。

「直前の合宿にはいなかったゴン(中山)さん、秋田さんがチームのことを盛り上げて、支えてくれました。ピッチ外で細かいところまで声をかけてくれて、締めるところは締める。でも、ただサポートに徹するだけではなくて、2人から『俺も試合に出てやる!』という強い想いや練習に対する熱い姿勢が伝わってきました。それを間近で見ていた下の世代は『ピッチで自分の100%を出さないといけない』と思いました」

 日本はグループリーグ初戦でベルギー代表に2-2と引き分けたが、続くロシア戦は稲本の2試合連続ゴールで歴史的なW杯初勝利。試合後のロッカールームには当時の小泉純一郎首相が駆け付けて祝福したことは語り草だが、その場の雰囲気にチームワークの良さを感じたと明神は語る。

「小泉首相は何人もSPの方がいるなかでロッカールームに入ってきてくださって、選手たちを盛り上げてくれる温かさ、親しみやすさを感じました。2001年5月、相撲の横綱・貴乃花さんが右膝を亜脱臼しながら優勝して、小泉首相が表彰式で『感動した!』と賛辞を送ったことが話題になりましたが、ゴンさんが小泉首相に『感動しましたか?』と(笑)。即興で首相に訊いて、『感動した!』という言葉が出て、『おおー!』と盛り上がったのを覚えています。小泉首相の温かさ、ゴンさんの空気作り、とてもいいチームワークでした」

 フィリップ・トルシエ監督が採用した3-5-2システムの中で、明神は右ウイングバックながら中盤センターのスペースも埋めてみせた。“フラット3”の右ストッパーを務めた松田とは、「苦しくなったらパスを出すんで頼みます」と伝えていたとおり、苦しい状況に陥った時にフォローしてくれる絶妙な関係性だった。

「(グループリーグ)2試合目のロシア戦、僕は試合直前にスタメンで出ることが決まりました。マツさんには、『右サイドでしっかり守備するので、攻撃で苦しくなったらもうバックパスするんで頼みます』と、同じ右サイドを担当する選手同士、ちょっとしたコミュニケーションを図ったら、『任しとけ』『頼んだよ、ミョウちゃん』みたいな感じでした(笑)。(1歳年上の)マツさんとはお互いに仲良くしていたので、ピッチ上では信頼し合っていい関係を築けていたと思います」

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