原口所属ウニオン・ベルリンの“ヨーロッパ行脚”にファン熱狂 興覚め感は皆無…スタジアムに鳴り響く「サッカーの神!」の声

原口元気が所属するウニオン・ベルリン【写真:ロイター】
原口元気が所属するウニオン・ベルリン【写真:ロイター】

【ドイツ発コラム】寂しい雰囲気は全く見られないウニオン・ベルリンのEL戦

「UEFAヨーロッパリーグ(EL)は魅力に乏しいからファンが集まらない」なんて言われることがある。スタジアムにファンが集まらず、なんだか寂しい雰囲気で試合が行われることもあったりする。

 MF原口元気が所属するウニオン・ベルリンにはそんな興覚め感が全くない。平日21時スタートの試合にどんどんファンが集まってくる。最寄駅からホームスタジアムまでは街灯もない小川沿いの真っ暗な道を通っていくのだが、そこら中に携帯ライトをつけて向かうファンがいる。

 10分も歩くと暗闇の中に煌々と輝くスタジアムが目に飛び込んできた。ファンのざわめきと試合への熱さが直に伝わってくる。試合前のスタメン発表。恒例のコール&レスポンス。スタジアムDJが選手の名前を呼ぶと、ファンは声を合わせて「フースバルゴット!(サッカーの神)」と返す。ここではスタメン選手も、控え選手も、監督もみんなが「フースバルゴット」なのだ。

 ELのアンセムに合わせて選手が入場してくると、ゴール裏に壮大なコレオが登場する。ヨーロッパの地図が描かれた横断幕の上に飛行機がせり上がってくるような仕掛けだ。そこには大きくメッセージが書かれていた。

「シートベルトを締めろ! ウニオンがヨーロッパを行脚するぞ!」

 ファンの熱狂を感じながらも、グループステージで2連敗スタートするなど、ヨーロッパでのサッカーに苦しんでいた。ヨーロッパと日本のサッカーは違うとよく言われているが、ヨーロッパの中でも各国、各リーグそれぞれでサッカーは違う。ELの戦いとブンデスリーガの戦いは違う。

 当たり前といえば当たり前だが、ところ変わればサッカーも変わるのだ。はた目には同じように見えても、細かいところで違ったりする。そしてその違いがピッチでプレーする選手には違和感となって、思いどおりのプレーにつながらないなんてこともよくある。

 その点を原口も感じているようだ。1-0で勝利したホームでのマルメ戦(10月13日、1-0)後の談話だ。

「難しいと感じていますね、僕らからすると。ブンデスリーガの相手には慣れてますけど、経験的にヨーロッパでの戦いが浅いチームですし。ちょっとした違い、(ドイツではない)ヨーロッパのチームを相手にした時の違いっていうのにまだ慣れていく必要があるなと感じます」(原口)

page1 page2

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング