日本GKプロジェクトアドバイザーが語る、「ゴールキーパー」から「ゴールプレーヤー」への進化の風潮

若手には「欧州でなるべく多くプレーする」ことを推奨

 また、GKが試合に与える影響は以前にも増して大きくなった。フック氏はEURO(欧州選手権)2020でイタリア代表GKジャンルイジ・ドンナルンマが大会の最優秀選手に、2021-22シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)決勝で勝利したレアル・マドリードのベルギー代表GKティボー・クルトワがマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたことを例に「いいGKは勝利に直結する役割を担う」と強調した。

 世界的にGKの重要性が大きくなっているというなか、フック氏の目に日本のGKたちはどのように映っているのか。フック氏は数年前と比べて欧州でプレーする選手が大幅に増えた一方で、GKに限れば川島永嗣(ストラスブール)、シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)、中村航輔(ポルティモネンセ)、小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)などひと握りであることに触れ、「いい教育を受けていてポテンシャルのある選手はいる」がレベルの面では「トップレベルとは少し距離があるように感じる」と語った。

 JFAが掲げる「2050年までワールドカップ優勝」の目標に感銘を受けて、プロジェクトのアドバイザーに参画したというフック氏は「日本には才能あるGKがいると感じている」としたうえで「将来的には才能あるGKが欧州でなるべく多くプレーして(トップレベルとの)距離を縮めるための努力が必要」とプロジェクトへの意気込みを明かした。

「6歳から10歳まではいろいろなポジションでプレーさせ、すべての選手がGKを経験するような環境を作る。それによってゴールを守るという感覚を掴ませる。我々はJリーグから欧州のより高いレベルでプレーするための道筋を作る必要があります」

 フック氏は日本から世界的なGKを生み出す育成の道筋を明確に思い描いている。一朝一夕では実現しえない壮大なプロジェクトだが、ここから欧州5大リーグやCLのような大舞台で活躍する日本人GKの誕生に期待したい。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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