カタールW杯が近づくなかでサポーターやメディアから厳しい視線

　2018年のロシア・ワールドカップ（W杯）でベスト4に進出するなど、近年躍進のイングランド代表に異変が起きている。カタールW杯が近づくなかで5試合勝利から遠ざかり、“スリーライオンズ”に対してサポーターやメディアから厳しい視線が注がれている。

“サッカーの母国”として知られ、世界でも屈指のタレントを揃えるイングランド。2016年末に就任したギャレス・サウスゲート監督の下で18年ロシアW杯ベスト4、EURO2022準優勝と近年の国際大会では好成績を収めている。カタールW杯出場権も順当に獲得。最新のFIFAランキングでは5位で、優勝候補の一角といっても過言ではないだろう。

　そんなイングランドが本大会を前に不振にあえいでいる。今年3月の国際親善試合でコートジボワールに3-0で勝利したが、その後は欧州ネーションズリーグで5試合連続勝ち星なし（2分3敗）。格下と見られるハンガリーに2敗（0-1、0-4）し、ドイツ（1-1）とイタリア（0-0）とドロー。また、直近の試合では敵地でイタリアに0-1で敗れた。この結果、イングランドはリーグA・グループ3の最下位が確定し、来季はリーグBへの降格が決まった。

　イタリア戦ではサポーターから容赦ないブーイングも飛んだ。英紙「デイリー・メール」は「ノーゴール、そして大勢のブーイング…イングランドを取り巻く雰囲気は不穏なものとなっている」と報じている。

　同紙によれば、ここ最近のイングランドでは不名誉な記録が顕著になっているという。まず5試合連続勝利なしは2014年以来8年ぶり。それが公式戦で5試合連続となると1992年以来10年ぶりのことだという。

　この5試合で挙げたゴールはFWハリー・ケインのPKによる1点のみで、495分間オープンプレーからの得点がない状況だ。また直近3試合は無得点終わっているが、これは2000年以来22年ぶりになるという。なお、ここまでネーションズリーグでPK以外のゴールがない国はイングランドとそもそも得点を決めていないサンマリノだけという屈辱的なデータも残っている。

　カタールW杯でも躍進が期待された“スリーライオンズ”に一体何が起きているのか。サウスゲート監督は「これが現実だ。難しい結果が続けば、それを処理するのは監督の仕事だ。私はこれに取り組まなければいけない」と前を向いたが、依然としてサポーターやメディアからの批判も噴出している。

「デイリー・メール」紙のオリバー・ホルト氏も「楽観的で、一体感のあった日々は終わった」と代表チームへ厳しい視線を向けている。大きなプレッシャーを背負うサウスゲート監督と代表選手たちはこの逆境を乗り越えることができるのだろうか。