前田大然が1トップ候補へ急浮上…猛プレスがW杯“強敵撃破”の鍵に? 「普通ではない」韋駄天の起用意義とは
アメリカ戦のハイプレスを先導、自身は無得点もチームの機能性を高める
FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)が負傷してから、新たな軸が見つかっていなかった森保ジャパンの1トップに有力候補が見つかった。9月23日にドイツのデュッセルドルフ・アレーナで行われたアメリカ戦(2-0)に先発出場したFW前田大然(セルティック)だ。
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右足を痛めた影響もあってか前半45分間のみの出場に終わった前田だが、爆発的なスピードとそれを繰り返すことのできるスタミナを見せて、日本のハイプレスを牽引した。前田の動きに2列目のMF久保建英(レアル・ソシエダ)、MF鎌田大地(フランクフルト)、MF伊東純也(スタッド・ランス)も連動し、高い位置で面白いようにボールを奪い、そこからのショートカウンターでチャンスを作った。
後半途中までベンチから試合を見ていたMF堂安律(フライブルク)は、「前半に関してはプレスの掛け方はチームとして完璧だったと思います。良いショートカウンターもあって、チームとして機能していたので。そこはイメージしながら見ていました」と、自身がピッチに立った時を想定しながらも、ピッチ上の完成度の高さを認めた。
そして、それができた要因に前田を挙げている。「大然のファーストプレスがかかるので。足が速い分、タケ(久保)と純也くんもプレスを掛けやすいのかなと。あまり中を切らずに、直接、サイドバックにプレスをかけているので、迷いがなかったのかなと思います。ファーストディフェンダーがはっきりするとやりやすい。縦パスが入ると、(遠藤)航くんと守田(英正)くん、あと、冨安(健洋)さんが強かったので。そこはチームとして良いバランスでやれたと思う」と、分析した。
この試合、イメージが重なったのが2012年ロンドン五輪のスペイン戦(1-0)だ。この時の関塚隆監督が率いたU-23日本代表は、FW永井謙佑のスピードを攻守に生かした。最前線からのプレス、そしてボールを奪ってからのカウンターで大番狂わせを引き起こしている。今回、ワールドカップ(W杯)でドイツ、スペイン、コスタリカと戦う森保ジャパンは、この試合の再現を狙っているのかもしれない。
となると、問題はプレスのかけやすかったアメリカに対し、ドイツやスペインといった最終ラインに確かな技術と戦術眼を持つ選手が揃う相手に、このプレスが通用するかだ。
昨季、フランクフルトをUEFAヨーロッパリーグ(EL)優勝に導く活躍を見せた鎌田は、アメリカ戦で前田の背後でプレーした。前田のプレスについて聞くと、「もちろん敵としては、すごく嫌だと思います。ただスプリントをするだけでなく、あれだけ何回もできるというのは、普通ではないと思う。それが守備だけでなく、攻撃にもつながると思う。僕はああいう選手と組んだら、よりディフェンスの部分が軽減されるので、僕にとっても嬉しいことです」と、語っている。