日本代表「鎌田システム」の是非 好調・鎌田大地を生かす“最適解”を考察…パスの出し手だけではもったいない

フランクフルトで好調の鎌田大地【写真:Getty Images】
フランクフルトで好調の鎌田大地【写真:Getty Images】

【識者コラム】フランクフルトではレシーバーとしてフィニッシュに絡むプレーが増加

 11月のワールドカップ(W杯)が迫るなか、日本代表の注目ポイントの1つに鎌田大地(フランクフルト)の起用法がある。最終予選の終盤戦ではメンバー外になることもあったが、やはりクラブレベルでの活躍を見ても、日本人選手では突出した存在になりつつある鎌田を生かさない手はない。もちろん今さら鎌田に依存したチーム作りをする必要はないが、チームに大きなプラウアルファを加えていくためのキーポイントであることは確かだろう。

 代表チームには特定スタイルに選手を合わせる方法と選手に合わせて組み上げる方法がある。森保一監督はこれまで主に4-2-3-1と4-1-4-1を使ってきた。また6月のガーナ戦で短時間ながら試した3バックもオプションとして示唆する。そのなかで、ここから2試合に臨むにあたり、4-2-3-1に関して次のように語った。

「対戦相手の力がアジアより格段に上がってくる。守備から攻撃にどれだけ移っていけるか。4-2-3-1になった時に1トップは変わらないが。トップ下がいると、守備から攻撃に移る時により起点を前線に増やす意味では、いい守備からいい攻撃に移るバリエーションにはなる」

 鎌田はフランクフルトで3-4-2-1のシャドーとボランチでマルチにプレーしており、その時に出る選手との組み合わせで、オリバー・グラスナー監督が鎌田を当てはめている。鎌田自身も8番(中盤の前目)と6番(中盤のうしろ目)の両方で、特に苦手意識なくプレーできることは自負しているようだ。そんななかで、フランクフルトではシャドーのポジションで、いわゆるレシーバーとしてフィニッシュに絡むプレーが増えている理由をこう語る。

「シンプルにやっぱマリオ・ゲッツェの存在が大きいと思う。2年前のウチが良かった時もアミン・ユネスっていう選手がいて、彼が足もとでやってくれて、自分は裏に抜けたりだとか。自分はどっちかというと周りにプレースタイルも合わせられるタイプだと思うし、今はすごくバランスがいいと思うので、そうやってる感じです」

 そうした鎌田のプレーは日本代表だと、4-2-3-1でも4-1-4-1でも出すことはできるはずだが、やはり前者のトップ下の方がより生かしやすい。ただし、日本にはゲッツェがいない代わりに南野拓実(ASモナコ)や伊東純也(スタッド・ランス)がいる。鎌田がタメを作って左右の選手がゴール前に絡んでいく。もちろん、そうした関係は堂安律(フライブルク)や三笘薫(ブライトン)との組み合わせで、また変わってくるところもある。

「トップ下はもちろん僕のできるいいポジションだと思うし、まあ僕は別にそれ以外のポジションでもある程度、いいクオリティーでできる自信があるので。そこまでポジションにはこだわりはないんですけど、僕以外にもいい選手はいるし、適した選手もいると思うし、そこはチームとしていろいろトライするべきなのかなと思います」

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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