英プレミア「最も恥ずべき」ゴール取り消しと物議 “ミスジャッジ認定”に家本政明氏が見解「この程度がファウルかという全体的な見解」

審判団に抗議するウェストハムのモイーズ監督【写真:ロイター】
審判団に抗議するウェストハムのモイーズ監督【写真:ロイター】

【専門家の目|家本政明】ロンドンダービーの最後のドラマを解説

 現地時間9月3日のプレミアリーグ第6節、チェルシー対ウェストハムのロンドンダービーは、ホームのチェルシーが2-1と勝利したなか、後半45分にウェストハムのゴールがVARで取り消されて物議を醸した。

 9月3日のJ1リーグ第28節の鹿島アントラーズ対浦和レッズの一戦(2-2)で「家本政明LABO」というオンライン同時視聴イベント(※見逃し視聴チケット購入可能。詳細は「家本政明LABO」公式サイトまで)を開催した元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が「FOOTBALL ZONE」の取材に応じ、ロンドンダービーで起きたジャッジの是非を解説している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

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 今夏の移籍市場終盤に大型補強を見せたチェルシーは、後半18分に先制点を許す苦しい試合展開を余儀なくされる。それでも、同31分に途中出場したイングランド代表DFベン・チルウェルのゴールで同点に追い付くと、同43分にはチルウェルのクロスから、ドイツ代表FWカイ・ハフェルツが逆転ゴールを決めた。

 このまま逃げ切りたいチェルシーだったが、同45分にウェストハムのコートジボワール代表FWマクスウェル・コルネが、ゴールネットを揺らした。ゴールを確信したコルネは土壇場でのゴールに歓喜したが、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)のチェックが入り、ゴールは認められなかった。コルネがシュートを決める直前、チェルシーのセネガル代表GKエドゥアルド・メンディとイングランド代表FWジャロッド・ボーウェンの間に接触があり、メンディはピッチに倒れこんでいたのだが、この際の接触がファウルと判定された。

 試合後、ウェストハムの中心選手であるイングランド代表MFデクラン・ライスは、「VAR導入後、最も恥ずべきジャッジの1つ」とSNSに綴り、デビッド・モイーズ監督も「スキャンダラスなジャッジだ」と得点が認められなかったことに不満を唱えた。さらに、トッテナム戦ではVARに泣かされたチェルシーのトーマス・トゥヘル監督も「VARは、我々に有利に動いた」と発言している。

 その後、イングランドではPGMOL(英プロ審判協会)が、このゴールとニューカッスルとクリスタル・パレス戦で取り消されたクリスタル・パレスのイングランド代表DFタイリック・ミッチェルのオウンゴールについて、VARの判断が間違っていたことを認めている。

 この件について、家本氏は「まず、主審のジャッジについては、最初にいたポジションは、いわゆる『串刺し』のポジションになっています。GKがいて、FWがいて、その背後にレフェリーがいます。審判の前に多くの人がいたので、どういう感じで当たったのか、それ以前に当たったのか、当たっていなかったかの現場では認識できず、適切な判断ができなかったのでしょう。しかし、コンタクトがあって、VARがGKに対するファウルと”厳密”に判断し、主審に確認を促して、最終的にファウルと判定し直しました。実際、ボーウェン選手は右足でしっかりGKをまたいでいますが、左足は不自然に残しているようにも見えるので、映像を見直した結果、意図的な不用意なファウルだと感じたのでしょう」と、ノーゴールという判定に至った経緯を推測した。

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家本政明

いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。

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