恐怖のレフティーや残留争いのチームを救うキーマンも 今季J1リーグ“当たり助っ人”7選

ヨニッチはC大阪に復帰して獅子奮迅の働き

■マテイ・ヨニッチ(C大阪/DF/日本5年目/今季19試合1得点)

 来日した2017年に”カップ戦二冠”の獲得に大きく貢献。4年間で3度の優秀選手賞に輝いた。昨年は中国の上海申花に移籍したが、DF瀬古歩夢のスイス1部グラスホッパー移籍を受けて、獲得し直す形で復帰した。

 実績を考えれば、活躍は約束されたものだったかもしれないが、小菊昭雄監督が構築するタイトなディフェンスで安定したパフォーマンスを見せており、ハイラインのコントロールからゴール前の身体を張ったブロックまで、獅子奮迅の働きを見せている。何より波のなさが素晴らしく、彼の存在なくして終盤戦まで上位を争う成績は難しかったかもしれない。

■レオ・セアラ(横浜FM/FW/日本3年目/今季21試合10得点)

 かつて「レオナルド」の登録名で、琉球でプレーしたことがある。加入1年目の昨シーズンは10得点を記録。今年はさらなる飛躍を期待されたが、第11節までリーグ戦では無得点が続いた。ACLグループステージのホアンアイン・ザライ戦で2得点を挙げていたが、懐疑的な声も見られた。しかし、ACL明け2試合目の湘南戦で、途中出場からリーグ戦初ゴールを記録すると、清水戦のハットトリックなど、ここまでトップタイの10得点を挙げている。

 大きくはないがヘッドも強く、多彩な形からゴールを仕留めることができる。ここぞという時の勝負強さでも頼りになる選手だ。最近、サウジアラビアからのオファーが伝えられたが、本人が断りを入れたと明かし、ファンサポーターを安心させた。リーグ3連覇を狙う川崎が暫定ながら首位に返り咲いたこともあり、タイトル奪取を狙うマリノスで、気鋭のストライカーが重要な役割を果たしそうだ。

■ナッシム・ベン・カリファ(広島/FW/日本1年目/今季18試合5得点)

 前線でモーターのように走り、相手のビルドアップに規制をかけ続ける。攻撃に転じれば粘り強いポストプレーからスペースを突くフリーランなど、汗をかくことを全く厭わない。ミチャエル・スキッベ監督の教え子でもあるベン・カリファ。4月の来日から、Jリーグに素早くフィットするか未知数だったが、要らぬ心配だった。

 ただ、その印象的なプレーとは裏腹に、ゴールという結果はなかなかついて来ず、リーグ戦5試合目の京都戦で初ゴールを挙げてから、10試合ノーゴールだった。しかしながら第26節のG大阪戦でハットトリックを達成して、得点力を示した。精力的なプレーは常に目を引くが、アタッカーとしては周囲との連携が高まるほど、パフォーマンスが上がることは明らか。ここからさらなる活躍が期待できそうだ。

■マテウス・トゥーレル(神戸/DF/日本1年目/今季2試合0得点)

 残留争いに巻き込まれている神戸にとっては希望とも言えるディフェンスラインのニューカマーだ。センターバックはシーズン中の加入だと、なかなかフィットしない傾向が強い。しかし、ブラジルの名門フラメンゴから8月に加入したトゥーレルは早々にディフェンスラインで卓越した対人能力を披露。第25節の札幌戦ではクリーンシートでの勝利を支えた。

 23歳という年齢ながら成熟した振る舞いを見せ、厳しい局面ではいち早く反応してクリアやブロックで切り抜ける。ビルドアップもしっかりしており、ここから残り試合に残留をかける神戸で、ますます重要性は増していきそうだ。

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(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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