酒井宏樹は「新幹線のように速く走る」 浦和をACL決勝に導いた“世界基準”に同僚も感嘆

ACL決勝進出に貢献したDF酒井宏樹【写真:(C) AFC】
ACL決勝進出に貢献したDF酒井宏樹【写真:(C) AFC】

2ゴールに絡み、全北現代撃破に大きく貢献

 浦和レッズの日本代表DF酒井宏樹は、8月25日に行われたAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準決勝、全北現代(韓国)戦で延長戦からPK戦まで120分間フル出場し、2得点を導くプレーを披露。チームがPK戦の末に勝利した試合後、「今はすごくチームを誇らしく思う」と話した。

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 酒井はまず前半11分、右サイド深い位置でのスローインからMFダヴィド・モーベルグとMF伊藤敦樹がつないでいる間に全速力でインナーラップ。モーベルグの浮き球を受けると、ゴールラインまで進出してFW松尾佑介のゴールを導く高速クロスを入れた。松尾は「一瞬、DFのうしろで受けようと思ったけど、酒井選手がニアに速いボールを入れてくれるのではないかと信じて走った」と振り返った。

 その後、チームは後半にPKで追いつかれると、延長戦でも後半11分に勝ち越しゴールを許す。その延長後半も残りわずかとなった最後の1分で、酒井は右サイドで相手に強烈なスライディングタックルを浴びせてボールを奪うと、モーベルグに預けて外側をオーバーラップ。オフサイドに気を使って1回スピードを緩めつつ、再加速してゴールライン際からスライディングでクロスを入れた。ここからのこぼれ球をFWキャスパー・ユンカーが蹴り込んで起死回生の同点ゴールになった。

 モーベルグは、「時に新幹線のようにとても速く走って、助けてボールを運んでくれる。僕は時刻表のようにパスを出すだけ」と笑った。MF関根貴大は、「“世界のサカイ”がやってくれたと思う」と話している。

 もつれ込んだPK戦は、浦和がGK西川周作の好セーブもあり、PKスコア3-1で勝利。試合後の記者会見に出席した酒井は「試合前からタフな試合になることは予想できた。実際、日韓対決としてすごく熱い試合だった」としたうえで、「勝利を諦めることなく一丸となって120分戦ったうえで、次のステージに進むことができたことに対して今はすごくチームを誇らしく思う」と話した。

 昨夏にフランス1部の名門マルセイユを退団して浦和へ加入した酒井だが、「去年の夏、マルセイユからの移籍は当時、家族も代理人も誰1人、この移籍に賛成の人はいなかった。これが成功だったかどうかは、僕自身が証明するしかないと思っていたし、そのためにはこの大会が必要だった。まだ何も成し遂げていないが、東地区の優勝ができて決勝に進めたことは僕にとって非常に大きなこと。それを今成し遂げたことでチーム、スタッフに感謝したい」と、その思いとアジア制覇への意欲を語った。

 改めて浦和に世界基準を持ち込んだ右サイドバック(SB)は、3回目のアジア制覇を狙うチームを東地区の王者であり、西地区の王者とホーム&アウェー方式で戦う決勝戦へと導いた。火花の散るような局地戦を制しつつダイナミックに駆け上がる姿は、埼玉スタジアムでひときわ大きな輝きを放っていた。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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