攻め手不足の森保ジャパン、鈴木優磨を”打開策“に推奨 E-1選手権は最適な“実験場”

ブラジルW杯時と酷似している日本の現状

 ああなるのなら、もっと早く大久保を組み入れていれば良かったと思ったものだが、積み上げてきものが根本から崩れるかもしれないと考えて招集を躊躇していたのだろう。副作用の強い劇薬と見ている節があった。

 日本代表の現状はあの時と似ているかもしれない。1トップの大迫が負傷もあって精彩を欠き、6月の4試合で浅野拓磨、古橋亨梧、上田綺世を起用したが決定打には至っていない。伊東純也、三笘薫の突破以外の攻め手を欠いている。そしてJリーグに目を向けると、卓越したプレーでチームを牽引しているアタッカーがいる。

 カタール大会は直前の準備期間がほとんどないため、もはやほぼ手遅れという事情もブラジル大会とよく似ている。しかし、特に失うものもないE-1なので、鈴木を招集して実験をするには最適だ。タイミングとしてはぎりぎりだが、この機会を逃す手はない。

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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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