デュッセルドルフ内野貴史、驚きのU-21日本代表選出…「嘘?」の舞台裏 大岩監督から直電「招集するよ」…親友と再会の夢物語

デュッセルドルフでプレーするDF内野貴史【写真:Getty Images】
デュッセルドルフでプレーするDF内野貴史【写真:Getty Images】

【独占インタビュー】3月のドバイカップでU-21日本代表初選出に歓喜「やっぱり憧れ」

 ウズベキスタンで6月に開催されるU-23アジアカップに向けて、ドイツ・ブンデスリーガ2部デュッセルドルフのDF内野貴史がU-21日本代表として選出された。デュッセルドルフでトップチームデビューを果たした内野が、3月に行われたドバイカップに参加するU-21日本代表選出の報をもらったのは電車の中だったという。初選出された当時の衝撃と驚きについて明かしている。(取材・文=中野吉之伴/全4回の4回目)

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 チームのトレーニングに向かう市電の中でスマホが震えた。U-21日本代表監督・大岩剛氏からの電話だった。「ドバイカップで招集するよ」という話を聞いた内野は、現実離れした展開に驚きながら、車内にいるという現実があるので大声で喜ぶこともできない。

「最初、JFA(日本サッカー協会)の人から連絡がきて、『オリンピック代表のスタッフが興味を持っています。今、クラブのトップチームでデビューした直後なので、チームに残ってアピールしたいですか、もし代表に招集されたら来たいですか』というのを聞かれまして。代表、行きたいじゃないですか!国を背負って戦うというのはやっぱり憧れですから」

「監督から連絡がいくと思います」という話は聞いていたが、本当にかかってくるとは思わなかった。デュッセルドルフでのトップチームデビューもいきなりなら、代表入りの可能性はさらにいきなりだ。思わぬ展開に戸惑うばかりだった。

「本当にそうなんです(苦笑)。最初、連絡もらった時はまだリリース前だったんで他の人には言えなかったんですけど、親には伝えて。でも親に伝えたら『は?』みたいなリアクションで(苦笑)。ぜんぜん信じてもらえなくて。それでオレも『たぶん呼ばれるらしい』って答えながらも、『あれ、嘘なのかな?』とか思っちゃったりで(笑)。オレも、親もそうでしたね。だから監督から電話をもらったあと、しばらくしてオフィシャルで発表された時に、『あ、オレ代表選手のリストの中に名前がある』って実感しました」

 これまで世代別代表には一度も呼ばれたことがない。夢にまで見た日の丸が付いたユニフォームに袖を通せる高揚感。それこそ初めての代表での毎日は、すべてが新鮮すぎて逆に緊張しなかったという。

「ブンデスリーガ2部でデビューして、そこそこ自信も、やれるなという感覚もあったから、堂々とやろうと思ってました。1回サプライズで呼ばれているものだから、ダメならダメでと、開き直ってやってましたね。国際試合だったので相手は上手かったですけど、驚いたのは、チームのみんなのポゼッションが上手くて。同年代でこんな上手い選手がいるんだなって驚きました。僕もそこまで自信を失うことなくできたとは思っています」

中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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