久保建英、スペイン3年目は“及第点ギリギリ” マジョルカ記者が“後退”を指摘「年々レアルから遠ざかっている」

パコ・ムニョス氏(写真左)とマティアス・アドロベール氏【写真:島田 徹】
パコ・ムニョス氏(写真左)とマティアス・アドロベール氏【写真:島田 徹】

ムニョス氏はレンタル続きの現状を懸念

 また、アドロベール氏は来季以降の久保についても厳しい見方をしている。「年を経るごとにレアル・マドリードから遠ざかっているように見える。これまでのレンタルで勝ち取ったと言えるものがなく、最終的に他チームに売却ということになるのではないか。まずは夏のプレシーズン合宿でどんなアピールができるのか、その後、改めてレンタルまたは売却になるのだろうが、彼自身がなんらかのビジョンを持って判断すべきだろう」としている。

 一方、ムニョス氏は久保について「活躍は控えめで、自分自身を見失っている」と分析。「1試合良いプレーをするだけではダメで、コンスタントな能力の発揮が必要。チームが勝負を賭けた試合に先発を任されなかったということが今季の彼を象徴している。彼の評価もチームと同じ『5』だが『4』にしても良いくらい」と、落第スレスレだと評価。また、将来については「マドリードの選手でありながらそこでプレーする望みがないというのはいい状況ではない。彼に必要なのは、『どこでプレーしなければならないのか』と心配することなくプレーすること。毎年レンタルに出るというのは良くない。どういう形にしろ、本当の意味でチームの一員になってやれる方法を考えるべきだ」と語った。

 今季の出来が「控えめ」で「熟成が必要」とした理由の遠因として、ムニョス氏が挙げたのは久保の周囲に張りめぐらされた過剰なまでの取材統制だ。「彼だけのせいではないのだろうが、ファンがタケと触れ合うことができなかったのは残念なこと。メディアが彼と話をするのは不可能で、まるで(パリ・サンジェルマンのフランス代表FWキリアン・)ムバッペのようなスーパースター(遠い存在)だった。しかし、実際にはマジョルカは最終節で残留を決めるようなチームで、彼はそこで絶対的な存在でもなかった。私が思うに選手というのはもっとオープンで自然体であるべき。私はテニスのラファ・ナダルに25回以上大会で取材している。彼は実際に世界的なスーパースターだがとても自然で少なくとも話はできる。そういったことを誰かが彼に教えるべきではないか」と“過保護”が選手の成長を妨げている恐れを指摘している。

 来季以降、さらなる成長を狙う久保にとって、今季マジョルカの経験がどう役に立つのか――。その答えは数年後に明らかになる。

(島田 徹 / Toru Shimada)



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島田 徹

1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。

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