元ブラジル代表DFが語る久保建英の“リアル評” 「いい傾向ではない」と指摘するのは?

久保のプレーを分析するジョルジーニョ【写真:藤原清美】
久保のプレーを分析するジョルジーニョ【写真:藤原清美】

スタメンとして継続してプレーすることを要求

 久保の場合、ベンチにいても、いざ投入されたら試合の流れを変えることができる。そのため、多くのスペインメディアやサポーターもそのクオリティーを認めている。もっとも、ジョルジーニョ氏は“切り札”的起用を自分で認めてはならないと見解を述べる。

「ただ、選手に対して、こういう見方をする監督もいるんだ。『彼は後半の選手だ』と。それは久保にとっていい傾向ではない。サポーターまでこう思い始める。『久保が投入されたら、試合を変えてくれる』と。だけど『では、なぜ、そういうプレーをスタメンの時にはしないのか』と。そういう印象が刻まれることを、自分自身が認めてはいけないんだ。『投入されたら、僕が試合の流れを変える』という考えに慣れてはいけない。久保がその状況に満足しているはずはないだろうけど、いざスタメンで試合を始めれば、同じようにはいかない。そうなってはいけないんだよね。

 もちろん、起用を決めるのは監督だ。久保が日々どうであるか、戦術的に監督が指示することを果たせているのかまで僕は知らないから、監督の方針に疑問を投げかけたいとは思わない。ただ、攻撃的な場面でのプレーの映像を見ただけでも、彼の技術的なクオリティーが非常に高いのは、はっきり分かる。だからこそ、スタメンとしてプレーしなければならない。もう日本のフル代表にも招集されているならば、継続してプレーすることが非常に大事になるんだ」

 久保がスペイン4年目でさらなる成長を遂げられるか。それには、スタメンとしてシーズンを戦い抜き、結果を残すことが求められるだろう。

[プロフィール]
ジョルジーニョ/1964年8月17日生まれ、ブラジル出身。アメリカRJ―フラメンゴ―レバークーゼン(ドイツ)―バイエルン(ドイツ)―鹿島―サンパウロ―ヴァスコ・ダ・ガマ―フルミネンセ。右サイドバック、ボランチとこなし、攻守でチームを支えたユーティリティーで、ブラジル代表としてワールドカップ優勝も経験。鹿島在籍4年間でJ1リーグ通算103試合17得点。リーグ優勝を果たした1996年にはMVPとベストイレブンに輝いた。2022年5月18日に母国ブラジル1部アトレチコ・ゴイアニエンセの監督に就任。

(藤原清美 / Kiyomi Fujiwara)



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藤原清美

ふじわら・きよみ/2001年にリオデジャネイロへ拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特に、サッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のテレビ・執筆などで活躍している。ワールドカップ6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTubeチャンネル『Planeta Kiyomi』も運営中。

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