J通算460試合超の副審が見た世界 「油断できなかった」印象に残るストライカーとは?

Jリーグ時代の久保建英、柳沢敦、佐藤寿人【写真:Getty Images】
Jリーグ時代の久保建英、柳沢敦、佐藤寿人【写真:Getty Images】

【インタビュー】八木あかね審判員が印象に残ったのは久保建英、柳沢敦、佐藤寿人

 JリーグとフットサルのFリーグで審判員を務める八木あかね氏は、Jリーグ通算461試合で副審を務めた実績を持つ。選手と同じピッチレベルに立つ審判員だからこそ見える光景・感覚もあり、20年以上のキャリアの中で印象に残った選手を訊いた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史/全3回の3回目)

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 タッチに沿って移動する副審は、ピッチ内の選手との“接点”は主審ほど多くはない。そのなかで、サイドでプレーする選手は“主戦場”が近いため、印象に残ると八木氏は話す。名前を挙げたのは、FC東京のトップチームでJ1デビューを果たし、現在はスペイン1部マジョルカでプレーする日本代表MF久保建英だ。

「久保建英選手が在籍していた頃のFC東京は、右サイドを中心に攻めていました。味の素スタジアムでFC東京が僕のほうに向かって攻める時は、ずっと右サイドで(味方と)3人くらいで関係を作って、上手だなと見ていました」

 鹿島アントラーズでJ1優勝5回、リーグカップと天皇杯で優勝各3回、2002年と06年のワールドカップ(W杯)にも出場した元日本代表FW柳沢敦氏(現鹿島ユース監督)、歴代2位のJ1通算161ゴールを誇る元日本代表FW佐藤寿人氏、裏への抜け出しを武器とするストライカー2人は、副審として息つく暇もなかったという。

「常に(ボールを)受ける準備ができていた柳沢敦さんは、アントラーズが攻められていても、ずっと見ていないといけませんでした。オフサイドラインを見ておかないといけないので、ボールやプレーを見ながら当然ディフェンスのことを意識していますけど、自分の担当するディフェンスラインが攻めている時は、そこまでオフサイドのことは気にしません。でも、攻守が切り替えるとすぐに受けられる選手がトップにいる場合は油断できなくて、なかでも柳沢さんは凄かった。一連の攻撃の中で、オンのまま何回でも受けられて、オフにならないので『まだ来そう、まだ来そう……』と(笑)。佐藤寿人さんも受け方がうまくて印象に残っています」

 副審から見える世界も頭に入れて見ると、また違った角度からサッカーを楽しめるかもしれない。

[プロフィール]
八木あかね(やぎ・あかね)/1974年1月14日生まれ、大阪府出身。高校卒業後、「Jリーグ審判養成コース」合格を経て、2000年にサッカー1級審判員へ。09~19年は国際副審、14~19年はプロフェッショナルレフェリー(PAR)としても活躍した。これまでJ1通算278試合、J2通算179試合、J3通算4試合、リーグカップ通算61試合を副審として担当。2002年からはフットサル審判員との“二刀流”でピッチを所狭と駆け回る。

(FOOTBALL ZONE編集部・小田智史 / Tomofumi Oda)



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