日本より格上…「W杯対戦国」スペイン分析 “神童”ら中盤は世界屈指、森保ジャパン金星のキーマンは?

日本はスピード系アタッカー陣で、長めのカウンターに活路 MF川辺駿にも注目

■【日本×スペインの対戦シミュレーション】

 間違いなく格上の相手だが、ドイツに比べると戦い方はよりはっきりさせやすい。日本がスペインよりボールを持つことはほぼ不可能で、現実的には40%持てたらかなり善戦と言える。それでもドン引きしたらいつかやられてしまうため、基本的にはミドルゾーンにコンパクトなブロックを作りながら、1人1人のボールホルダーに規制をかけて、選択肢を限定して行きたい。

 日本の4-3-3だと、アンカーのところをフリーにしてしまい、そこにFW大迫勇也(神戸)などセンターフォワードの選手がチェックに行くと、センターバックに前を向いて持ち出される。それを防ぐには4-2-3-1でマンツーマン気味にはめていく守備の方が有効かもしれない。

 攻撃面で大きな鍵を握るのは起用する選手のチョイスで、MF久保建英(マジョルカ)をトップ下に配置して、右サイドハーフにFW伊東純也(ヘンク)、左にFW浅野拓磨(ボーフム)、トップにFW古橋亨梧(セルティック)というスピード系のアタッカー陣で、少し長めのカウンターも繰り出せるようにしたい。

 そして勝負所でトップにFW前田大然(セルティック)、左サイドにMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)など、ジョーカーとしてもスペシャリティーを備える高速アタッカーを投入していく。

 場合によっては縦の2トップにして伊東、古橋、前田、三笘という4枚でスペインの裏を徹底して狙う形をとってもいいが、それを機能させるには中盤から縦パスを繰り出しながら、ボックス・トゥ・ボックスの動きもできるボランチがキーになる。

 その適任者はMF川辺駿だ。現在はスイス1部の名門グラスホッパーでプレーするが、来シーズンからウォルバーハンプトンでのプレミアリーグ挑戦が見込まれる川辺を森保監督が“本番仕様”として中盤に組み込むか注目だ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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