日本より格上…「W杯対戦国」スペイン分析 “神童”ら中盤は世界屈指、森保ジャパン金星のキーマンは?

日本と対戦するスペイン【写真:Getty Images】
日本と対戦するスペイン【写真:Getty Images】

12月1日の第3戦で激突、世界一も射程圏内のスペインは若手が次々台頭

 11月に開幕するカタール・ワールドカップ(W杯)で、7大会連続出場の日本は、スペイン、ドイツと同じE組に振り分けられ、残る1枠は大陸間プレーオフの勝者(ニュージーランドorコスタリカ)で6月に決まる。ここでは「対戦国分析」として、グループ第3戦で激突するスペインを紹介。「基本戦術」「注目選手」「日本との対戦シミュレーション」からチームの実力を紐解く。

【カタールW杯・グループE/スペイン代表(FIFAランク7位)の対戦カード】
第1戦 22年11月23日 ニュージーランド(101位)orコスタリカ(31位)
第2戦 22年11月27日 ドイツ代表(12位)
第3戦 22年12月1日 日本(23位)

【スペインの基本情報】
W杯出場:12大会連続16回目
カタールW杯予選:ヨーロッパ予選グループB・1位
前回大会(18年)成績:ベスト16
W杯最高成績:優勝(2010年)

■【スペインの基本戦術】

 ルイス・エンリケ監督が率い3大会ぶりの優勝を狙う「ラ・ロハ」(スペイン代表の愛称)は世代交代の最中にあった昨年のEURO(欧州選手権)で、高くない下馬評を覆す躍進を見せた。準決勝でイタリアにPK戦負けを喫して、そのメンバーから6人が参加した東京五輪も最後はブラジルに敗れて銀メダルに。しかし、“神童”ペドリやFCバルセロナの同僚FWフェラン・トーレスなど、若い選手たちが所属クラブでさらなる成長を遂げており、世界一は十分に射程圏内にある。

 ドイツと同じ組に入ったことも、決勝トーナメントでの厳しい戦いを想定すれば、いいたたき台になるだろう。若手の勢いが目に付くが、やはり攻守の要を司るのはアンカーのMFセルヒオ・ブスケッツ(バルセロナ)で、彼の存在を抜きに安定した試合運びは考えにくい。さらに守護神ウナイ・シモン(アスレティック・ビルバオ)、前線の起点になるFWアルバロ・モラタ(ユベントス)、経験豊富な右サイドバックのセサル・アスピリクエタ(チェルシー)も心身両面で頼もしい存在だ。

 最終ラインから中盤にかけて、パスを回しながら、左右ウイングを起点に相手ディフェンスを崩していく伝統は変わらない。そのなかでも選手の組み合わせのバリエーションが豊富で、変幻自在のドリブルを誇るMFジェレミ・ピノ(ビジャレアル)や左利きのMFパブロ・サラビア(スポルティングCP)ら個人で打開できるタレントも台頭している。

 ネックは欧州主要リーグの中断からW杯の開幕まで時間がないことだが、主力に怪我がない限り、80%ぐらいの状態で大会に入れれば、決勝トーナメントで100%に持っていく計算は立てやすいだろう。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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