J1&J2リーグ「ブレイク&再ブレイク候補」を厳選 “19年のMVP”が復活の狼煙、パリ五輪世代の20歳MFは必見
【識者コラム】開幕戦の出来を踏まえ、ブレイク&再ブレイク候補をピックアップ
30年目のJリーグが開幕し、シーズン公式戦の初戦で印象的な働きを示した選手たちのパフォーマンスは、今後の見どころの1つとなる。ここではJ1&J2リーグの開幕戦の出来を踏まえ、今季のブレイク、再ブレイクを予感させた選手たちを独自にピックアップして紹介する。
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■FW山田雄士(柏レイソル/21歳)
中盤に抜擢されて、2得点に絡む活躍で柏を勝利に導いた。湘南ベルマーレとの開幕戦では、早い時間に相手が10人になったこともあり強度の部分でアドバンテージはあったが、ネルシーニョ監督のタスクをこなしながら、クリエイティブで積極的なプレーが目を引いた。柏アカデミーの1年後輩であるFW細谷真大に少し先を越された感はあったが、主力として存在感を高めていく期待十分なパフォーマンスだった。
■FW北野颯太(セレッソ大阪/17歳)
17歳のアタッカーは、横浜F・マリノスとの開幕戦で後半35分から登場。劣勢ななかで前線に勢いを取り戻させた。DF進藤亮佑からの縦パスを右足で見事にコントロールしてのシュートなど、終盤の時間帯においては最も存在感があった。今回は1トップ気味のポジションでプレーしたが、セカンドトップやサイドもできる選手。試合展開に応じて様々な形で起用されるかもしれない。
■DF前嶋洋太(アビスパ福岡/24歳)
DFエミル・サロモンソン(→IFKヨーテボリ)の退団で注目された右サイドバック。DF湯澤聖人も有力候補だったなか、長谷部茂利監督は横浜FCから新加入の前嶋を起用し、その期待へ見事応えた。MF金森健志からの折り返しを右から決めたゴールもさることながら、サイドの組み立てからゴール前に入っていく動きなど、従来の福岡にあまりなかった動きで良い流れをもたらした。守備面でも柔軟に立ち振舞うなど、今後のさらなる活躍が期待できるプレーぶりだった。
■MF川﨑颯太(京都サンガF.C./20歳)
J2では抜群の存在感だったが、浦和レッズ戦がJ1デビュー戦とは思えない落ち着きと攻守のトランジションでインテンシティーをもたらした。ゴールシーンはチーム内で「ホールディングセブン(ボールを保持した時に、CBの2人と自身以外のフィールドプレーヤーを操る)」と呼ばれるアンカーの位置から右サイドに流れてチャンスに絡み、FWピーター・ウタカのゴールをアシスト。課題に挙げていた直接ゴールに関わるプレーも幸先よく披露した。パリ五輪世代の代表ボランチにはMF松岡大起(清水エスパルス)、MF藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)などハイレベルな人材が揃うが、十分に競争に割って入れるポテンシャルを示している。
■FW仲川輝人(横浜F・マリノス/29歳)
2019年のリーグ最優秀選手(MVP)に輝いたアタッカーが、今季開幕戦(対セレッソ大阪)で完全復活の狼煙をあげた。「昨年の前田大然のイメージ」で飛び込んだゴールも見事だったが、左サイドからオン・オフの動きでC大阪のディフェンスを翻弄した働きは見逃せない。セットプレー2発で勝ち点3を逃したのは残念だったが、かつてのエースが再びその地位に返り咲く可能性を十二分に示した。もっとも、途中出場のFW西村拓真やFWアンデルソン・ロペスなど前線にはタレントが多い。競争と共演が相乗効果になれば、仲川をはじめ複数の選手が得点ランキングの上位を占めてもおかしくない。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。