札幌移籍の興梠慎三、恩師ミシャとの二人三脚で目指す2022年シーズンの“復活”
9年過ごした浦和を離れ、札幌へ期限付き移籍
元日本代表FW興梠慎三は今季、浦和レッズから北海道コンサドーレ札幌に期限付き移籍した。2013年から浦和のエースとして活躍してきた万能型ストライカーは、旧知のミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下でキャリアの再生を目指している。
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興梠は宮崎県出身で鵬翔高校から2005年に鹿島アントラーズ入り。FW柳沢敦やFWマルキーニョスとプレーしながら実力を磨き、07年からのリーグ3連覇にも貢献。その後、12年限りで鹿島を退団すると、翌年から浦和へ加入した。そこで、ミシャ・サッカーの1トップにピタリとハマってゴールを量産。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)の日本人最多得点記録を保持するなど活躍したが、21年シーズンは前年最終盤の負傷もあって出遅れたまま出場機会を減少させ、札幌への期限付き移籍となった。
プレーには2つの顔があるタイプだと言える。まず、攻撃の組み立ての部分で見せるのはポストプレーの安定感。難しいボールをいとも簡単に収める技術に、スペースに出た五分五分のボールを相手と競り合いながらマイボールにする強さを兼ね備える。リズムが悪いと見るや、中盤に下がってきてボールキープを助ける一面を持つ。また、スプリント能力も非常に高く、特に初速で相手との差をつける。ポストプレーへの警戒が過剰ならば、反転して相手の最終ライン背後への縦パスで抜け出していく。
一方で、攻撃の最終局面ではペナルティーエリア内で最大の力を発揮する。国際サッカー連盟(FIFA)の特集で「FOX IN THE BOX(ペナルティーエリア内の狐)」と称されたこともあるように、高い決定力を持つゴールハンターとしての能力に疑いはない。丁寧にコースを狙うシュートから、相手GKの位置を見てループシュートに切り替える技術、バネのあるジャンプ力を生かしたヘディングシュートにオーバーヘッドキックなどアクロバティックなものを決める感覚も持つ。強いて言えば、ドリブルで何人もかわしていくプレーや、ペナルティーエリア外からの強烈なミドルシュートというパターンはほぼないが、攻撃の仕上げをするストライカーとして何も不足する要素のない選手だ。