2022年Jリーグ、新天地で“大復活”を遂げそうな10人は? 若手からベテランまで注目タレント厳選

今季から新天地での活躍が期待される10選手に注目【写真:Getty Images】
今季から新天地での活躍が期待される10選手に注目【写真:Getty Images】

【識者コラム】古巣に帰還した永木亮太、梁勇基ら“生けるレジェンド”たちに注目

 いよいよ開幕する2022シーズンのJリーグ。いろいろと楽しみな要素はあるが、これまで実績があり新天地で“大復活”を遂げそうな選手を10人ピックアップした。

■森谷賢太郎
所属:サガン鳥栖
ポジション:MF
年齢:33歳
2021年リーグ成績:22試合0ゴール(J2/愛媛FC)

 川崎フロンターレ時代のスーパーゴールが印象深いが、組み立てや巧妙なパスで数多くのチャンスを作り出せる。愛媛でも川井健太監督が率いていた2020シーズンは中心的な存在だった。

 昨年も途中から流れを変える役割で時折、輝きを見せたもののベンチから出場なく試合を見届けて終わる試合も。J3に降格した愛媛との契約満了がリリースされたのは今年になってだが、恩師でもある川井監督が新たに率いる鳥栖の練習やキャンプに参加して契約を掴み取った。

 指揮官の戦術を知っていることはアドバンテージだが、それに加えて決定的なパスやミドルシュートも自分の武器として出していきたいと語る。川井監督も「彼はいいアクセントになる」と森谷に信頼を寄せる。2019年にジュビロ磐田でプレーしてから3シーズンぶりのJ1で鳥栖を躍進に導く活躍ができるか注目だ。

■永木亮太
所属:湘南ベルマーレ
ポジション:MF
年齢:33歳
2021年リーグ成績:15試合0ゴール(J1/鹿島アントラーズ)

 鹿島で16年のJリーグと天皇杯、18年のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝を経験したMFが、7年ぶりの復帰となる。大学時代に特別指定選手としてデビューし、その後はキャプテンも務めた経歴の持ち主で、湘南ではすでにレジェンドとも言える存在だ。

 ただ、主力として一時代を築いた鹿島でもこの2年は途中出場や怪我人の穴埋め的な起用が多く、そのなかでしっかりと仕事をこなしてはいたが、主力として信頼される環境で再挑戦したい思いは強かっただろう。

 一緒にプレーしたこともある坂本紘司スポーツダイレクターのラブコールもあり、若いチームを心身ともに引っ張る存在として期待される。要所を外さないポジショニングや対人守備は頼りになり、持ち前の正確なキックでのチャンスメイク、さらにはセットプレーのキッカーとしても得点力を引き上げる存在になりそうだ。

■梁 勇基
所属:ベガルタ仙台
ポジション:MF
年齢:40歳
2021年リーグ成績:7試合0ゴール(J1/鳥栖)

“生けるレジェンド”が3年ぶりに仙台へ帰還。鳥栖でも出場時には良質な長短のパスなどで存在感を示していたが、古巣で再び攻撃の中心的な役割が求められる。視野の広さとセンスを生かしたゲームメイクに加えて、フリーキック(FK)でも違いを生むことができる選手だ。

 何より豊富な経験に裏打ちされた状況判断は攻守の随所で発揮されるだろう。鹿島で一時代を築き、故郷の仙台に帰ってきた遠藤康と円熟味のあるコンビネーションを構築しながら、若い選手たちの指標にもなっていけるか。

■安田理大
所属:松本山雅FC
ポジション:DF
年齢:34歳
2021年リーグ成績:35試合0ゴール(J2/ジェフユナイテッド市原・千葉)

 千葉に所属していた昨年も決してパフォーマンスが悪かったわけではないが、システム変更もあり、終盤に試合を締めくくる役割がメインになっていた。根っから明るいキャラクターで、さらに経験値もあるのでメンタルリーダー的な意味合いも強い。ベテランも含めて、どちらかと言えば大人しい選手が多い松本を引っ張っていくはず。

 磐田にも在籍した安田は名波浩監督とも知古の間柄で、オン・オフで信頼を置いているはず。往年のようにゴリゴリとサイドを突き進んで高速クロスに持ち込むのは難しいが、タイミングよく中盤からボールを引き出して、左右の足からクロスを上げたり、守備面でも幅広い仕事でチームを助けられる。J3から捲土重来を図る松本では心身両面での働きに期待が懸かる。

■小野裕二
所属:サガン鳥栖
ポジション:MF
年齢:29歳
2021年リーグ成績:7試合1ゴール(J1/ガンバ大阪)

 気鋭のアタッカーは横浜F・マリノスでトップ昇格、ベルギーでも5シーズン経験。その後、3シーズン在籍した鳥栖ではハードワークと鋭い仕掛け、ゴール前での勇敢さなどでスタジアムに熱気をもたらした。

 さらなる活躍が期待されたG大阪では大きな怪我を経験。終盤まで残留争いを強いられたチームを助ける働きはできなかった。強い気持ちで精神的な支えになるが、鳥栖ではピッチ上でしっかりとプレーで発信したいと言う。

「鳥栖でタイトルを獲るために帰ってきた」と語る小野はチームに勢いをもたらしながら、苦しい時にもチームを前に向かせる心身のベクトルになる。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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