三重3年のエースFW、円陣でまさかの“三点倒立”… 会場がどよめいた意図あるルーティーンの裏話【高校サッカー秘話】

パンフレットでは髪の毛が長かったが、丸刈りへ変身

 屈強なストライカーとして今大会に臨んできた吉良は、三点倒立以外にも自分の気持ちにスイッチを入れていた。それは髪型だ。パンフレットでは髪の毛が長かったが、この日のピッチ上の彼は丸刈りだった。

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「丸刈りをしたのは開会式の前日の(12月)27日です。理由は高校サッカーでしか坊主できないと思っていて、人生初めてです。選手権も最初で最後だし、悔いが残らないようにプレーしたいので、『失うものは何もない』と思って剃りました」

 自らを奮い立たせられる力こそ、彼の最大の能力かもしれない。だからこそ、初戦は突破することはできたが、自身はたった1本のシュートしか打てず、ノーゴールという結果に納得はしていなかった。

「身体を張って守る仲間を見て、僕ら攻撃陣がチャンスを作れない中で、本当に悔しかった。でもこういう試合をものに出来るのも僕らの強さだと思うし、今日は守備陣全員に感謝をしたいと思います。インターハイの時もそうですが、僕らは誰1人上手い選手はいない。能力が高い選手がいない中だからこそ、団結力と一体感を大事にしてきた。1年間積み上げてきたので、この一体感が三重の強さだと全国の皆さんに知ってもらえたら嬉しいです」

 2回戦の相手は初戦を4-0で大勝した前橋育英。V・ファーレン長崎入り内定のMF笠柳翼(3年)、ザスパクサツ群馬入り内定のDF岡本一真(3年)を擁する優勝候補に対し、三重はどのように挑むのか。

「次の試合ではもっと僕がチームを助けられるように頑張っていきたい」

 高い壁であることは間違いないが、先頭に気迫漲る吉良がいる限り、彼らは臆することなく真っ向から立ち向かっていくだろう。

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