“代役”塩谷がデビュー戦で示した可能性 最終ラインの“主役”に名乗り

配給力と対人能力の強さを示す

 代役とは言わせない――
 日本代表DF塩谷司(広島)は10日、代表デビューとなったジャマイカ戦(新潟)で、その機能性をいきなり見せつけた。DF吉田麻也(サウサンプトン)が負傷で今回の代表参加を見送り、舞い込んできたチャンスをつかみ取った。
 待望のデビュー戦だった。高鳴る心臓は、時間の経過とともに普段通りのリズムを刻む。緊張から解放されると、試合後にはそれが充実感へと変わった。
「試合に入るときは緊張したけど、始まってからは緊張もなくやれた。前半は硬さがあったけど、後半は縦パスのところとか良さを出せたかなと思う」
 最終ラインから正確にボールをつなぎ、展開力も申し分なかった。所属クラブで見せるボール奪取から持ち出す場面は数える程度だったが、優れた配給力を示した。
「(初の代表戦)スピードとか、今までに経験したことがないものだった。守備のバランスをまず意識してやっていたし、森重くんとハジくん(細貝)と3人で声を掛け合いながらやっていた。攻められる場面はあまりなかったけど、前線の選手が走ってくれて、的が絞りやすかった」
 何よりも守備に破綻がなかった。速さと、高い対人能力で相手の速攻を阻み、DF森重真人(FC東京)とは初めてセンターバックのコンビを組んだとは思えない連係の良さを見せた。アギーレジャパンの初勝利、初完封に貢献し、その力を十分示した。
 ただし、塩谷本人は、ここで満足はしていない。見据えるのは続くブラジル戦(14日・シンガポール)と、その先に待つ定位置争いだ。
「きょうの試合での(自分の)評価は難しいと思うし、これを継続してどれだけやっていけるかが自分の課題。これが世界のレベルじゃないと思うし、満足せずにやっていきたい」
 代役ではなく、最終ラインの主役へ。塩谷司はそのスタートラインに立った。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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