「間違いなくJ1トップ選手」 栗原勇蔵が「年間ベストディフェンシブプレーヤー」選出

栗原勇蔵氏はベストディフェンダーにジェジエウを選出【写真:小林 靖】
栗原勇蔵氏はベストディフェンダーにジェジエウを選出【写真:小林 靖】

川崎Fの堅守の理由を栗原氏が指摘「攻守にわたって完成されている」

 2021年シーズンのJ1リーグは川崎フロンターレが勝ち点92、最少失点数28という圧倒的な強さを見せて、2度目の連覇を達成した。MVP(年間優秀選手賞)には川崎のFWレアンドロ・ダミアンが受賞し、ベストイレブンのDF部門には川崎の選手3人が名を連ねた。そんなシーズンを締めくくる企画として、「Football ZONE web」ではスポーツ・チャンネル「DAZN」とともに毎月行ってきた「月間表彰」において、「月間ベストディフェンシブプレーヤー」のセレクターを務めた元日本代表の栗原勇蔵氏に、DF目線で2021年シーズンを総括してもらった。(取材・構成=Football ZONE web編集部)

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 栗原氏は、今シーズンのJ1リーグについて開口一番、「フロンターレがやっぱり強かったね」と振り返った。

「昔の強かったチームって攻撃は特化しているけど、逆に守備にはもろい部分があったりした。でも、最近はフロンターレに代表されるようにポゼッションが高く、攻撃的なチームなのに失点数も低い。そこが一番印象に残った点です。サッカーが完成されているところが、攻守にわたって数字にきちんと出ているなと感じました」

 この5年間でリーグ優勝4回を果たしている川崎にとって、唯一獲れなかったシーズンが2019年。その年、横浜F・マリノスの一員として栗原氏は優勝を経験している。伝統的な堅守を持ち味としていた横浜FMでセンターバックとして活躍していた栗原氏には、川崎の堅守はどのように映ったのだろうか。

「圧倒的なポゼッション率が堅守の要因なのかなと思います。ポゼッションするのがすごくうまいんだけど、ポゼッション率が高ければ、当然相手にボールを持たせる時間帯を減らせるわけで。相手にボールを触らせなければ、失点することはない。それを体現していたのがフロンターレだったと思います。フロンターレの試合を見ていると、敵陣の深い位置に押し込んでポゼッションして、仮にボールを取られたら、そこからすぐに守備が始まる。逆に押し込んだ状態から攻撃をスタートさせることができるので、得点にもつながりやすいし、長い時間を高い位置でプレーできるので失点も少なくなるんです」

 もちろん一長一短でチームが完成されたわけではない。栗原氏は、「風間(八宏)さんが攻撃の基礎を作って、そこにプラスαとして鬼木(達)さんが守備を整理したという印象がある」と語る。

「今シーズンは精神的支柱だった(中村)憲剛さんが引退したり、シーズン途中で主力選手が移籍したり、いろいろあったなかで2度目の連覇をした。もちろんみんなのレベルが高いんだけど、正直、昔の外国籍選手のように選手個々がめちゃくちゃ突出しているわけではないと思います。ただ、よく聞くのが、練習から全員が同じベクトルを向いてやっているということ。だから誰が試合に出ても同じことができるんだと思います」

 栗原氏の絶賛は止まらない。

「現代サッカーって、もう全員が走らないといけないんです。でもフロンターレのデータを見ていて面白いのが、J1全体で見て走行距離は突出していない。それってどういうことかと言うと、ポゼッションして逆に相手を走らせているということなんです。もちろん走っていないわけではなくて、フロンターレの選手の走りは一切無駄がない、質のいい走りをしている。だから体力の消耗も少ない。そこまで完成しているんだって思いました」

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