日本のプレー強度はなぜ上がりにくいのか 2021年のJ1リーグで見えた“精度先行”の潮流

2021年のJリーグが終了した【写真:小林 靖】
2021年のJリーグが終了した【写真:小林 靖】

【識者コラム】ポジショナル・プレーを採り入るチームの好成績が目立つシーズンに

 2021年のJリーグが終了。J1ではポジショナル・プレーを採り入れているチームの好成績が目立つシーズンだった。川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、ヴィッセル神戸のトップ3だけでなく、浦和レッズ、サガン鳥栖が順位を上げた。

 ポジショナル・プレーとは、ごく簡単に言うと「いいポジショニングによって攻守に有利な状況を作るプレー」ということになると思う。フィールドを縦に5分割した「5レーン」を想定して、それぞれのレーンを効率良く埋める。例えば、隣同士のレーンに立つ選手は同じ高さで並ばないといったプレー原則がいくつかあり、選手たちは頭の中の5レーンを意識しながらプレー原則に従ってポジショニングする。

 言葉にすると少々まどろっこしいが、これまで全くなかった考え方ではなく、個々にはそうしたポジショニングを実行していたのだが、それをまとめて言語化したものがポジショナル・プレーと考えればいいと思う。まるっきり新発明というわけではないから、以前から採り入れているチームもあるし、そうとは知らずにポジショナル・プレーをしていたというケースもある。

 ポジショナル・プレーを採り入れていれば試合に勝てるというようなものではない。けれども、ポジショナル・プレーを上手く消化できているチームが上位を占めていたのは2021年のはっきりした傾向だった。

 ヨーロッパでポジショナル・プレーが注目されはじめたのは2010年前後なので、すでに10年以上経過していて、多くのチームが採り入れている。1990年代に広まったプレッシングが10年ほどで普通の守備戦術になっていったように、Jリーグでもポジショナル・プレーはすぐに当たり前の戦術になっていくと思う。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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