ドイツで話題の“美しいスポーツマンシップ” 敵将も感動「正直でフェア」…選手の紳士的行為に実感したスポーツの力

フライブルクMFグリフォが主審と話す様子【写真:Getty Images】
フライブルクMFグリフォが主審と話す様子【写真:Getty Images】

【ドイツ発コラム】フライブルクMFグリフォが相手エリア内で倒されるも…

 今季ここまでのドイツ・ブンデスリーガで大きな驚きを提供しているのがSCフライブルクだろう。13節終了時で4位につけており、失点13はリーグ最少タイ。直近2試合はフランクフルト、ボーフムに2連敗しているが、周囲からの評価は変わらずに高い。

 そんなフライブルクが11月21日の12節フランクフルト戦でスポーツの素晴らしさを感じさせてくれたとドイツで話題になっている。長谷部誠、鎌田大地がスタメン出場したフランクフルトは組織的な守備と鋭いカウンターで粘り強く2-0で勝利を飾ったわけだが、注目のシーンは後半2点を追うフライブルクは攻撃への圧力を高めてきた後半10分に訪れた。

 フライブルクの元イタリア代表MFビンツェンツォ・グリフォが、フランクフルトDFティモシー・チャンドラーにペナルティーエリア内で倒されたと主審はPKの判定を下す。これをきっかけに追い上げるぞとファンは大歓声。

 だがグリフォはスッと立ち上がると主審のところに駆け寄り、「競り合ったチャンドラーの身体的コンタクトはなかった」と正直に告げたのだ。

 試合後のテレビインタビューでグリフォは「フェアなやり方で試合に勝ちたかった。シミュレーションでじゃない。そのためにVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)もある。映像で確認してもらうこともできたけど、相手選手が僕にコンタクトがあったという感触はなかったんだ。だからすぐに伝えようと思ったんだ」と語っている。

 この振る舞いにフランクフルトの監督オリバー・グラスナーも感動。試合後の記者会見では次のように賛辞を送っていた。

「スポーツマンとはこういうことを言うんだろう。ビンチェンツォ・グリフォは、SCフライブルクというクラブがどんな信念に基づいたクラブかを示している。正直で、フェアで、スポーツマン精神にあふれた行いだ。彼に賛辞を贈りたい。そしてクリスティアンにもだ。選手は指導者の思いを反映する存在でもある。ファンタスティックなアクションだった」

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中野吉之伴

1977年生まれ。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。地域に密着したアマチュアチームで様々なレベルのU-12からU-19チームで監督を歴任。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA-Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2016-17シーズンからドイツU-15・4部リーグ所属FCアウゲンで監督を務める。『ドイツ流タテの突破力』(池田書店)監修、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)執筆。最近はオフシーズンを利用して、日本で「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。

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