浦和MF平野佑一へ「日本代表も見えてくる」 W杯戦士が“妙技”を絶賛「この判断は…」
【月間表彰】9月の「月間ベストアグレッシブプレーヤー」に浦和MF平野佑一を選出
「DAZN」のパートナーメディアで構成される「DAZN Jリーグ推進委員会」では、各月ごとに各部門の表彰を実施している。「Football ZONE web」では、現役時代に強靭なフィジカルと戦術眼を武器に日本代表としても活躍した福西崇史氏に、その月に最もアグレッシブなプレーを見せた選手を選出してもらっている。
【PR】ABEMA de DAZN、明治安田J1リーグの試合を毎節2試合無料生中継!
福西氏が9月度の「月間ベストアグレッシブプレーヤー」に選出したのは、今シーズン途中にJ2の水戸ホーリーホックから浦和レッズに移籍すると、J1の舞台でも物怖じすることなく自身の力を発揮しているMF平野佑一だ。国士舘大学から水戸へ入り、3年半にわたってJ2で才能に磨きをかけたMFは、新天地の浦和で最終ラインから小気味よくボールを引き出して攻撃のリズムを作り出す。守備でもボール保持者に強く当たり、個の力で回収してしまう。
現役時代に同じ中盤の底を主戦場としていた福西氏は、浦和が2-1と競り勝った9月25日のJ1第30節・FC東京戦で平野が披露したワンプレーに注目。飛躍の1年を迎えた25歳が見せたアグレッシブなプレーの意図を聞くとともに、今後、日本を代表するセントラルハーフになるための助言も送った。(取材・構成=Football ZONE web編集部/全2回の前編)
◇ ◇ ◇
福西 初めましてですね。
平野 初めまして。よろしくお願いいたします。
――9月の「ベストアグレッシブプレーヤー」として、福西さんに平野選手を選出していただきました。まず、その感想を聞かせていただけますか。
平野 すごく嬉しいです。その言葉以外、ないですね。僕もアグレッシブなプレーが好きですし、見ていて気持ちが良いサッカーをするのが好きなので、見ている人にもそういう感情になってほしいと思ってプレーしています。ですから、一つの形として、こうして賞をいただき、対談の時間をいただけたのは、すごく嬉しいです。
福西 今回、アグレッシブだなと感じた平野選手のプレーは、第30節のFC東京戦、前半45分に平野選手のアシストから、DF酒井宏樹選手が決めたチーム1点目のシーンです。平野選手が最初にボールに絡んだ時、サイドからパスを受けて、1タッチでボールを落としました。この時は自分のマークに付いているトップの選手を引き出して、スペースを作ることを意識していましたか?
平野 どちらかというと、選択肢がないなと思っていました。ローリングの動きと言って、サイドバックが困った時に、攻める方向とは逆に動いて(相手のマークを)、ローリング(巻く形)で回避する動きのオプションをみんなに共有させたかったんです。そういう意図もあって、この動きをやった感じです。
福西 このボールを落として、スペースを空ける動きによって、次の人がそこに入ってと、複数の選手がローリングする感じになりましたね。
平野 はい。(酒井)宏樹くんにワンタッチで返した後に、縦パスをもらう意識は持っていました。僕はどちらかというと、状況判断をしてプレーしたいタイプなのですが、この時は、周りが見えずに、なんとなく3人目の動きで(柴戸)海からパスをもらおうと思っていたんです。その時点で相手がどれくらい来ているかは意識できなかったのですが、本能的にトラップを前にすることができて、ボールを良いところに置くことができたので、シュートを打とうとしたのですが、相手の選手がスライディングしてきたので、パスを選択しました。
福西 シュートからパスに切り替えた時、酒井選手に対して、マークが付いて来ていないところまで見えていましたか?
平野 縦パスが出た時、横にいた小泉佳穂選手がフリーだったのと、(酒井)宏樹くんが走っていくところまでは見えていましたが、マークが来ていなかったところまでは見えていませんでした。「宏樹くんが来ているな。でも、トラップをして、シュートを打てるなら打とう」と思ったのですが、スライディングが来ていたので、パスを出しました。
福西 なるほど。サイドでローリングして崩すところは意図的に狙っていて、そこからは本能的だった感じですね。
平野 そうですね。このトラップは特にそうでした。
福西 少しトラップが流れたのかなという気がしましたが、酒井宏樹選手が走って来ていたので、DFもボールに飛び込めませんでしたね。そのなかでも急な判断をしたなと思いました。シュートを打とうとしたけど、止めた。この判断は素晴らしかったと思います。なかなか見ている人には伝わらない難しいプレーをやっているなと感じて、アグレッシブなプレーに選ばせてもらいました。縦パスを受けた時も周りが見えていたということですが、さすがボランチの選手ですね。