日本代表の命運握る10月のW杯予選 森保Jに提案…勝負の「変則型ターンオーバー」
アウェーでサウジアラビア、ホームでオーストラリアと激突するW杯予選の山場
森保一監督が率いる日本代表は、10月のカタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のアウェーでサウジアラビア(7日)、ホームでオーストラリア(12日)と対戦する。10試合ある最終予選の戦いでも最初の山場と言うべきシリーズであり、連勝ならホームでオマーンに敗れたマイナスを取り返すことができる。逆に連敗するようなら、ライバルの2カ国に完全に引き離されてしまうし、2分や1分1敗といった成績でも挽回の機会を逃すことになる。
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0-1と敗れたオマーン戦で改めて思い知らされたのが、日本代表の主要戦力である欧州組が日本に戻っていきなり高いパフォーマンスを見せることの難しさだ。確かにオマーン戦の時点ではDF冨安健洋がアーセナル移籍の手続きで合流できず、現在はFC東京に所属するDF長友佑都がフリーの状態で参加するなど、非常に難しい状況で最終予選の初戦を迎えた。
一方のオマーンはセルビアで1カ月の合宿を張り、チームの連係、コンディショニング、日本対策とすべて万全の準備で挑んできた。そうしたハンデを当事者は言い訳にしてほしくないが、現実問題として結果に大きく影響したことは間違いない。その後カタールで中国に1-0と勝利し、3、4試合目となる日本は最終予選に臨むモチベーションの部分で前回のような不安はない。
しかしながら可能な限りベストに近い状態でサウジアラビアとのアウェーゲーム、オーストラリアとのホームゲームに臨むにあたり、現実的にベターなプランを立てていくべきではないか。例えばサウジアラビア戦はオール欧州組で臨み、その間に国内組はJFA夢フィールドで横内昭展コーチとともに調整、オーストラリア戦で主力を担う“変則型ターンオーバー”だ。
森保監督は中国戦後、帰国せず欧州に飛んで選手たちの視察を行っている。東京五輪のメンバーだったMF田中碧が所属するデュッセルドルフも含まれるなど、A代表の欧州組がさらに拡充されることは確実だ。清水エスパルスのGK権田修一が2試合続けて起用された守護神も、シント=トロイデンに所属するGKシュミット・ダニエルが好調をキープしている。
FW大迫勇也(ヴィッセル神戸)、DF酒井宏樹(浦和レッズ)、長友とこれまでA代表の主力を担ってきたメンバーは、サウジアラビアに合流させるのはセオリーかもしれないが、往復移動の負担も考えると、どっちにしても2試合フル稼働を強いるのはハイリスクだ。サウジアラビア戦はFWオナイウ阿道(トゥールーズ)、DF室屋成(ハノーファー)、DF中山雄太(ズウォレ)ら欧州組でカバーして、彼らはオーストラリア戦に全力を注げるように備えるのが理想的だろう。同時期にU-20代表の合宿が組まれていれば、JFA夢フィールドで彼らとの練習試合やゲーム形式の練習を組むことも簡単だ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。