帰化選手より怖い? 日本を迎え撃つ中国、ドーハを“ホーム化”して得る不気味な優位性

日本代表と同グループで対戦する中国代表【写真:Getty Images】
日本代表と同グループで対戦する中国代表【写真:Getty Images】

コロナ禍で日程面の“恩恵”を受ける中国、豪州とのW杯最終予選初戦もドーハで開催

 森保一監督が率いる日本代表は9月2日に吹田スタジアムでオマーン、7日にカタールのドーハで中国と対戦する。ワールドカップ(W杯)アジア最終予選のスタートであり、森保監督が現在最も信頼するベストメンバーを招集したと考えられるが、不安要素になりそうなのが、オマーン戦から長距離移動を挟むことだ。

 無所属の長友佑都を除く欧州組は、日本に来てカタールに移動するという旅程になる。欧州での生活が長い選手たちは空路の長距離移動に慣れているが、日本に来て準備もそこそこに試合を行い、V字を描くように中東のカタールまで移動して試合をするのは簡単ではない。

 メンバー発表会見では、こうした事情も踏まえて日本のホームゲームとなるオマーン戦もドーハで開催するプランが出なかったのかという質問もあったが、反町康治技術委員長は「やはり我々としては日本のホームのアドバンテージがある。日本の皆さんにも真剣勝負を見てもらいたい」と回答していた。

 さらに反町委員長が「日本でいい活動をして、本来であれば中国に行くところがカタールになった」と説明する通り、もともと日本から中国という移動の想定があったところから、新型コロナウイルスの防疫のために、中国政府が外国人の入国を規制している事情を受けて、かなり直近になって会場が中立地のドーハに変更された事情もあるだろう。

 今回のオマーン戦は上限5000人とはいえ有観客で行われる予定であり、声出しは禁止だが、拍手での後押しを受けながらの試合となるのは選手にも心強いだろう。しかも、日本時間で行われるため地上波で予定されるテレビを通して観戦できる人は多いはず。今回アウェーゲームの国内中継はDAZNのみとなっているので、なおさらだろう。

 そうした事情を踏まえても、やはり気をつけなくてはいけないのは中国がオーストラリアとの初戦をカタールで行うことだ。オーストラリアも現在、入国時の厳格な隔離措置を設けており、サッカー連盟が代表チームの特別措置を求めて政府と協議したが、合意に達しなかったことで、やむなくホームゲームを中立地で開催することになったのだ。

 この恩恵を受けるのが中国だ。本来オーストラリアに乗り込むはずだった1試合目を中立地で行うことができるうえに、そのままカタールの地に留まって日本戦まで調整することができるのだ。しかも、会場はオーストラリア戦も日本戦も同じハリファ国際スタジアムになるという。コンディションや気候に加えて、ピッチのアドバンテージも彼らにあるわけだ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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