横浜FMが川崎を“急追”、直近3戦14得点の破壊力 躍進導く桁違いのスピード&運動量

質量を揃えた充実の戦力、対戦相手は堅守志向では厳しい

 現在の横浜FMは、前田、仲川、小池らに象徴されるように桁違いのスピードと運動量を兼備したタレントを揃えたうえで、最後尾の高丘から質量を揃えた充実の戦力を誇る。また、オナイウ阿道がトゥールーズに移籍した穴は、レオ・セアラが十分に埋めてお釣りがくる活躍ぶりを見せている。

 対戦相手は力の差があるのは分かっていても堅守志向では厳しい。そこで大分や鳥栖は、前からプレッシングに活路を求めたが、それがどこかで緩めば裏を取られるリスクは高く、背後に飛び出されればお手上げだ。一方で2点目のPKを導いた前田は、その直後には最終ライン近くまでフルスプリントしてサイドへ展開するパスをインターセプトする献身性も見せている。

 開幕戦で川崎に0-2で敗れた横浜FMは、故障者だらけで明らかに出遅れていた。しかし戦力が回復してからは、5月15日の第14節鹿島アントラーズ戦(3-5)を最後に黒星なしで粘り強く追走してきたことが現在に繋がった。次に川崎と対戦するのは最終節。横浜FMはホームで迎え撃つことになる。

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加部 究

かべ・きわむ/1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近選手主体のボトムアップ方式で部活に取り組む堀越高校サッカー部のノンフィクション『毎日の部活が高校生活一番の宝物』(竹書房)を上梓。『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(いずれもカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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