「素晴らしい戦い」のスペイン戦、闘莉王が“DF目線”で分析 日本は「攻め急ぎすぎた」

DFククレジャにドリブルで仕掛けるMF久保建英【写真:Getty Images】
DFククレジャにドリブルで仕掛けるMF久保建英【写真:Getty Images】

【五輪経験者の視点】MOMに吉田を選出、「自分ならブチ切れていた」PK宣告シーンでの冷静さ称賛

 U-24日本代表は3日、東京五輪サッカー男子の準決勝でスペインと対戦した。金メダル候補相手にボールを保持される展開となったが、粘り強い守備で奮闘。前後半の90分間をスコアレスで終えたが、延長後半10分に途中出場したFWマルコ・アセンシオに決勝ゴールを決められて0-1で敗れ、史上初の決勝進出は果たせなかった。優勝候補を相手にした120分の死闘を、「Football ZONE web」で五輪期間中のスペシャルアナリストを務めている元日本代表DF田中マルクス闘莉王氏が分析。MOMには主将DF吉田麻也を選出し、DF目線でチーム全体が「攻め急ぎすぎていた」と指摘した。

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 スペイン戦のマン・オブ・ザ・マッチ(MOM)は、やはり吉田麻也でしょう。個々の技術では圧倒的な差があるスペイン相手に、ずっとボールを支配される苦しい展開で、しっかりと体を張って戦っていた。

 一番印象に残っているのは、あのPKを宣告された場面。相手より先にボールに触って、クリアしていた。最終的にイエローカードとPKは取り消しになっていたけれど、自分だったら絶対にレフェリーにブチ切れて激しく抗議していたと思う。吉田はVARがあるから大丈夫という紳士的な態度で、冷静さを保っていた。あれが吉田のホスト国のキャプテンとしての素晴らしさを物語っている。

 素晴らしい試合だったが、日本としては自ら辛い状況に陥る展開だった。あれだけ相手にボールを持たれると、ボールを持った時に必ず攻めないといけないという精神状態に追いやられる。その結果、攻め急ぐシーンが多かった。

 あそこまで急がなくても良かった。相手にボールを支配される厳しい状況だからこそ、まずはラインを押し上げる。マイボールではしっかりとつないで、ディフェンスラインを押し上げる。スペインを自陣に押し戻してから、攻めれば良かった。最終ラインとしては押し上げ切れていない状況で、また攻められる厳しい展開だった。吉田やDF陣としては、余計な消耗を余儀なくされたと思う。

 スペインにとっては理想通りの展開。攻め急ぐ日本の攻撃に対して、ほぼ数的優位の状況で守れるから、そこまで崩されない。サイドバックもそこまで下がらなくてもいい。日本は余計な消耗もあったという。

 本当に悔しい試合だけれど、良い戦いだった。これはこの先、大きな経験になると思う。素晴らしい戦いをした、みんなを称えたい。

[プロフィール]
田中マルクス闘莉王/1981年4月24日、ブラジル出身。渋谷幕張高を卒業後、2001年に広島でJリーグデビュー。03年に日本国籍を取得し、04年アテネ五輪に出場した。その後は浦和でJ1とACL初制覇、名古屋でもJ1初優勝に貢献。06年にはJリーグMVPを受賞した。日本代表としても43試合8得点の成績を残し、10年南アフリカW杯ベスト16進出の立役者に。19年限りで現役引退。Jリーグ通算529試合104得点で、DF登録選手の100得点はリーグ史上初。現在は公式YouTubeチャンネル「闘莉王TV」でも活動中。

(Football ZONE web編集部)


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