「隠している方がダサい」 元なでしこFW、トランスジェンダー告白へ至った動機
米女子リーグのワシントン・スピリットFW横山久美がトランスジェンダーを公表
元なでしこジャパン(日本女子代表)で、米女子リーグのワシントン・スピリットに所属するFW横山久美が、心と体の性が一致しないトランスジェンダーであることを公表した。告白に至った動機について、横山は同じく元なでしこジャパンで、アメリカでプレーするFW永里優季(レーシング・ルイビル)の公式YouTubeチャンネルで明かしている。
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27歳の横山は、高校卒業後の2012年に岡山湯郷Belleへ加入。その後、AC長野パルセイロ・レディースを経て、17年7月からドイツ女子リーグの1.FFCフランクフルトへ1年間期限付き移籍した。18年から2年間、長野へ復帰した後、19年からワシントン・スピリットの一員としてプレーしている。
年代別代表やフル代表への選出歴があり、19年の女子ワールドカップ(W杯)メンバーにも選ばれた横山。現在はアメリカ女子リーグを舞台に切磋琢磨する日々を送っているなか、永里の公式YouTubeチャンネルで自身がトランスジェンダーであることを公にした。
幼少期から自身が「男っぽかった」と感じてきたという横山は、動画の中で「今まで何人かの女の子とも付き合ってきた」と赤裸々に告白。トランスジェンダーであることをこれまで隠し通してきたなか、胸に秘めていたものを解放させた1つの動機には、海外に身を置いた経験があったようだ。
「恋愛の話になった時、日本だったら絶対に『彼氏いるの?』って聞かれる。でもこっちだと『彼氏、彼女どっちいるの?』って聞かれるのが普通。こっちの人たちって心が広いというか、自分は違うけど、あなたはどっち? みたいな感じとか、今アメリカに住んでてオープンにしていいんだって感じた」
トランスジェンダーへの理解は、日本とアメリカで差を感じると横山は言う。日本では、世間の目を気にして本当の自分を打ち明けられない。一方でアメリカではオープンな雰囲気がある。”閉鎖的”な態度でいた自分を突き動かしたのは、同僚からの言葉だった。
「チームメイトに言われたのは、『隠している方がダサいよ、なんではっきり言わないの? 隠さなくていいんだよ』と。日本での状況を説明したんですよね。そうしたら『日本ってちっちゃいね』って言われて。確かに国もちっちゃいしなって思いながら、でもちっちゃいからこそ自分だけじゃなくて、今声を大にしている人とかみんなで力を合わせたらもう少し発展していくのかなと思ってます」
様々なことを隠し通すことに”限界”があるとも悟った横山は「今後の自分を考えた時に生きづらさっていうのはしんどいなって思って。自分だけじゃなくて周りも接しづらい人もいたと思う。そういうのも考えて公開しようと思いました」と説明。「最近は日本でもLGBTQっていう言葉が普及してきて色々取り上げられていますけど、自分みたいな立場の人たちが声を大にして言わないとまだまだ発展していかない」と、告白した意義を示した。
(FOOTBALL ZONE編集部)