「助っ人という感覚」 U-24代表に浸透する“OA効果”、“強力トリオ”が示した格の違い

ボランチの1枚と左サイドバックを除く4人はフル代表と同じ顔触れに

 プレー以外でも、日本が5点をリードして迎えた後半26分に、MF田中碧がセンターサークル付近でアフター気味に蹴られて倒れこむと、すかさず吉田がファウルをした相手選手に駆け寄り、ユニフォームを掴んで強く抗議した。

 その理由について吉田は「僕は長谷部(誠)さんみたいに優等生ではないので、かわいい後輩が削られたらやっぱりそこは行かないといけない。テレビで観ている人は『オーバーエイジなのに大人気ない』と思うかもしれませんが、これもゲームマネジメントのひとつ。特に練習試合でのこういったシーンは、『次やったら許さないぞ』という意思表示を出さないといけない。実際にあのプレーの後は、ほとんどラフプレーもなくなったと思う。ジャッジだったり、今は無観客ですがサポーターを味方にしたりすることも、試合をマネジメントする一つの術。そういうところはみんなに見て感じてほしい」と説明した。

 プレーはもちろん、それ以外のところでも、どうすればチームが優位になるかを知り、それを実践できる選手の存在は、チームにとって間違いなくプラスになる。また、その姿を間近で見ることで、若い選手たちが学べることの多さも、今後の彼らの財産になるはずだ。

 OA枠の採用の是非については、五輪が開催されるたびに話題となる。OAの3枠が使えるのは、予選が終わってからの本大会のみ。予選を戦ったU-24年代の選手たちを可能な限り本大会に出場させたほうがいいのではないかという声も理解できる。

年   開催地    オーバーエイジ出場選手       大会結果
1996年 アトランタ オーバーエイジなし            GL敗退
2000年 シドニー  GK楢﨑正剛、DF森岡隆三、MF三浦淳宏  ベスト8
2004年 アテネ   GK曽ヶ端準、MF小野伸二        GL敗退
2008年 北京    オーバーエイジなし            GL敗退
2012年 ロンドン  DF吉田麻也、DF徳永悠平         4位
2016年 リオ    DF藤春廣輝、DF塩谷司、FW興梠慎三   GL敗退
2021年 東京    DF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航   ???

 今回、招集されたOAの3選手は、いずれも守備面に特徴のある選手たちだ。ここに負傷離脱した22歳のDF冨安健洋(ボローニャ)が加われば、ボランチ2人と最終ラインの4人の計6人のうち、ボランチの1枚と左サイドバックを除く4人は、そのままフル代表と同じ顔触れになる。サッカーは失点をしなければ負けない競技だ。結果を出すことを最優先に考えれば、可能な限り失点をしない戦い方を模索するのは理に適っている。

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