東京五輪で“母国”と対戦 メキシコ代表の日本人コーチが抱く感慨「すごい巡り合わせ」

メキシコで10年近く指導者を務めてきた日本人の西村亮太コーチ(右から3番目)【写真提供:メキシコサッカー連盟】
メキシコで10年近く指導者を務めてきた日本人の西村亮太コーチ(右から3番目)【写真提供:メキシコサッカー連盟】

メキシコで10年指導する西村亮太氏、五輪代表コーチとして日本に“凱旋”

 東京五輪の男子サッカーで北中米カリブ海予選を勝ち抜いたメキシコは、グループリーグで開催国の日本、フランス、南アフリカの3カ国と同居した。同国の五輪代表チームでは、メキシコで10年近く指導者を務めてきた日本人の西村亮太コーチ(36歳)がハイメ・ロサーノ監督の右腕としてチームを支えている。母国への“凱旋”となる西村氏は、東京五輪に臨むU-24日本代表をどのように見ているのだろうか。“ライバル”となる日本の印象について話を聞いた。

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 メキシコは新型コロナウイルスの影響を受け、当初の予定よりも1年遅れて今年3月に行われた北中米カリブ海予選で優勝を飾り、3大会連続12回目の五輪出場を決めた。その五輪代表チームで、西村氏は2018年12月からコーチを務めている。本大会でグループAに入ったことについて、「他のどのグループに入っても一緒だと思うが、難しい、すごく競争の激しいグループだなと思った」と印象を明かした。

 メキシコはグループリーグではフランス、日本、南アフリカの順で戦う。すでに2年以上にわたってメキシコ五輪代表でコーチを務めている西村氏は、“母国”日本と対戦することについて「僕としては特別な感情はなく、目の前の1つの相手に勝つだけ。日本であってもスペインでもフランスでもドイツでも一緒」と特別視はしていない。だが、日本の印象を聞かれると「手強い相手だなと思う」と即答した。

 特に警戒すべきは攻撃を担う選手たちだという。西村氏は「日本は1人で状況を打開できる攻撃的な選手が揃っているので手強いなという印象」と分析する。要注意選手は「前線はほとんど全員」だと言い、MF三笘薫(川崎フロンターレ)、MF久保建英(ヘタフェ)、MF堂安律(ビーレフェルト)、MF相馬勇紀(名古屋グランパス)、FW食野亮太郎(リオ・アヴェ)、FW前田大然(横浜F・マリノス)の名を挙げた。

 さらに西村氏は、五輪が1年延期されたことで新たに頭角を表してきた新戦力の分析も必要だと話す。

「まだ組み合わせが決まったばかりなので深くは見れていないが、もし1年前に五輪が開催されていたら入っていなかっただろうなという選手もいると思う。この1年で日本代表に入った(五輪世代の)選手もいるだろうし、この1年で海外に移籍したり、Jリーグでブレイクした選手もいると思う」

 まだベンチ入りする18人のメンバーは決まっていないが、本番までの約3カ月の間に、ライバル国を徹底分析することになる。

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